このページでは、後継者がいない企業の事業承継に関する課題を、マッチング支援で解決するサービスについて解説しています。
事業承継のマッチング支援とは?
事業承継のマッチング支援とは、文字通り後継者がいない中小企業に対して行われる支援です。事業を引き継ぐに相応しい人材や企業などを紹介し、適切なマッチングをサポート。スムーズな事業承継をサポートする事業承継コンサルティングサービスの1種です。事業承継やM&Aといった課題をトータルサポートしてくれるサービスであり、買い手探しや候補者の選定から、最終譲渡契約を締結する段階までまとめて専門コンサルタントが支援します。
事業承継のマッチング支援は行政機関が提供しているだけでなく、民間企業によるサービスも存在しています。自社にメリットを提供してくれるマッチング支援サービスを見つけることは、後継者がいない企業にとって重要です。
事業承継のマッチング支援を活用するメリット
廃業を回避して事業を継続できる
後継者がいない中小企業が事業承継のマッチング支援を受けることで、廃業を回避しながら次世代へ事業をつなぐことが出来ます。それが事業継承のメリットです。
自分たちが成長・維持させてきた会社や事業が失われることは、企業の経営者や起業者にとって、大きな悲しみやストレスになることでしょう。しかし、信頼できる人材や企業に事業を引き継ぐことが出来れば、会社としての社会的価値を保てるのはもちろん。経営者・起業者・ビジネスパーソンとしての個人の意思を未来へつなげることも可能です。
ニーズに合った後継者を探してもらえる
マッチング支援サービスを提供するのは、事業承継コンサルティングを専門的に扱っている企業や団体です。言い換えればビジネス人材を発掘・紹介するプロフェッショナル。そのため、さまざまな分野や幅広い範囲から自社のニーズや特性に合致した事業承継の候補者を探してきてもらえるのが事業承継コンサルティングの特徴です。
無責任に後継者を紹介されるのでなく、あくまでもニーズにマッチした後継者との巡り合わせをサポートしてくれるのがマッチング支援サービスとなります。
従業員の不安を解消してモチベーションを維持
後継者がいない中小企業の場合、やがて廃業すると従業員に思われてしまえば、不安に思われたり企業への帰属意識が低下したり事業へのモチベーションが低下したりといったことが考えられます。
その点、適切な候補者が見つかって事業が存続されると従業員に理解してもらえれば、モチベーションアップや生産性の維持・向上へつなげられる点は覚えておきましょう。
事業承継に関するサポートを受けられる
マッチング支援サービスは単に後継者を見つけるだけでなく、その後の事業承継に関する諸手続についても支援してもらえるのがポイントです。
事業の整理や登記の手続き、その他にも従業員への説明などさまざまな点でプロの支援を受けられることは、事業承継コンサルティングの魅力でしょう。
事業承継のマッチング支援を活用するデメリット
実際に後継者と成約できるまで時間がかかる場合もある
マッチング支援では適切な人材を探して、交渉し、事業承継を完了するといった段階的な取り組みが必要となります。そのため、適切な人材が見つかるまで時間がかかる可能性も。仮に後継候補者が速やかに見つかっても、契約条件で交渉が長引くかもしれません。
マッチング支援は合理的でメリットのあるサービスですが、想定よりも長い時間がかかるかもしれない可能性について注意しておきましょう。
社風・経営方針・労働条件などの企業体質が変化する可能性
自社の風土や経営理念にマッチする人材や企業を見つけられたとしても、やはり経営者や経営層が変わることで、企業体質が変化する可能性があります。
どのような変化が生じるかは実際に事業承継が果たされた後でなければ確証を得ることが難しく、場合によっては期待していたような状況が叶えられないリスクもあるでしょう。
サービスを利用するための仲介費用が発生する
マッチング支援はあくまでもビジネスサービスであり、利用するためには仲介費用をはじめとするコストが発生します。マッチング支援サービスの費用や手数料は依頼先や事業規模によって変わりますが、条件次第では想定以上のコストが発生してしまうかも知れません。
そのため事前にしっかりと見積もりや費用相談を行っておきましょう。
事業承継のマッチング支援サービスを選ぶポイント
事業承継は、企業の存続と発展にとって重要な節目です。適切な後継者や譲渡先を見つけるため、マッチング支援サービスの利用を検討する企業が増えています。しかし、サービスによって特色や強みが異なるため、自社に合ったパートナーを選ぶことが大切です。ここでは、マッチング支援サービスを選ぶ際の重要なポイントを紹介します。
専門家のアドバイスを受けられるか
事業承継には、法律、税務、財務など幅広い専門知識が必要です。マッチング支援サービスを選ぶ際は、経験豊富な専門家からのアドバイスが受けられるかがポイントです。例えば、弁護士や税理士などのプロフェッショナルがサポート体制に含まれているか、具体的な事業承継計画の立案から実行まで専門家の手厚いアドバイスが得られるかを確認しましょう。
マッチングの実績
サービス選びでは、そのマッチング支援サービスがこれまでにどの程度の実績を上げてきたかも確認しましょう。成功事例の数や質、扱ってきた業種の幅広さなどから、サービスの信頼性やマッチングの精度を判断できます。特に、自社と同様の業種や規模の企業の承継実績が豊富なサービスは、ニーズに合った提案が期待できます。
料金体系
料金体系はサービスによって異なり、成功報酬型、固定料金型、時間単価型などがあります。自社の予算や具体的なニーズに合わせて、料金体系を提供するサービスを選ぶことが重要です。隠れたコストがないか、追加料金の発生条件が明確かなど、契約前に詳細を確認しましょう。
得意な業種・譲渡先が自社と同じ業種が豊富か
マッチングサービスが特に力を入れている業種や、過去に成功させた事業承継のケースをチェックすることで、自社に適したサービスを見つけられます。自社の業種に特化した知識やネットワークを持つサービスを選べば、より効率的かつ効果的なマッチングが期待できます。
NDAを締結しているか
事業承継プロセスでは、企業の機密情報が多く関わります。情報保護の観点から、NDA(秘密保持契約)締結が可能かどうかは、サービス選びの際に欠かせないチェックポイント。信頼できるマッチングサービスは、顧客の情報を厳重に保護する体制を整えています。事前にNDAの締結が可能かを確認し、安心して情報を共有できる環境を選びましょう。
事業承継は企業にとって大きな転換点です。適切なマッチングサービスを選ぶことで、スムーズな事業承継が実現します。上記のポイントを踏まえて、自社に最適なサービスを見極めましょう。
事業承継のマッチング支援サービスの利用の流れ
事業承継のマッチング支援サービスは、中小企業や家族経営の企業にとって、事業の持続可能性を確保する上で重要な役割を果たします。後継者不足に悩む企業が適切な後継者と出会い、円滑な事業継承を実現するためのプロセスは、以下のようなステップに分けられます。
ステップ1: 現状の把握
事業承継のマッチング支援サービスを利用する第一歩は、自社の現状を正確に把握から始まります。財務状況、事業の強みと弱み、市場での位置づけ、事業継承における特別な事情など、多岐にわたる要素の分析が含まれます。このタイミングで、専門のコンサルタントや評価機関を活用して客観的かつ詳細な企業診断を行いましょう。
ステップ2: 企業価値の向上
現状把握後、企業価値の向上を目指すべき点が見えてきます。これには、業務プロセスの改善、財務構造の最適化、ブランド価値の向上など、内部改善策が多く含まれます。また、外部からの視点を取り入れ、業界内での競争力を高める戦略も検討。後継者や投資家にとって魅力的な企業になるために不可欠なステップです。
ステップ3: M&Aマッチング支援サービスで後継者を探す
企業価値の向上策を考えた後は、後継者を見つけるためにマッチング支援サービスを活用します。支援サービスによって異なりますが、プロフィール登録から条件検索、興味がある案件へのアプローチまで、一連のプロセスをオンラインで行えます。
ステップ4: 事業承継の実施
マッチング後は、事業承継に向けた具体的な計画を策定し、実行に移します。この段階では、財務・法務面でのデューデリジェンス、契約書の作成、必要に応じて事業構造の調整などを実施。従業員や取引先へのアナウンスメントも重要になります。円滑な移行を実現するために、このプロセスを慎重に進めることが求められるでしょう。
ステップ5: PMI
最後のステップは、Post Merger Integration、つまり合併後統合です。このフェーズでは、事業の戦略的統合、組織文化の融合、システムやオペレーションの統一を行い、事業承継の成功を確実にします。適切なPMIの実施は、事業承継後のパフォーマンスを最大化し、新たな成長段階への移行をスムーズにします。
事業承継のマッチング支援サービスを活用することで、事業継承のプロセスを効率的かつ効果的に進められます。このようなサービスは、企業に新たな成長機会をもたらすだけでなく、経済全体の持続可能性にも貢献する重要な役割を果たしています。
まとめ
後継者が見つからずに廃業リスクが大きくなっている時、個人だけで後継者や承継先を探すのは難しいかもしれません。信頼できる第三者機関やプロフェッショナルへ依頼してマッチング支援サービスを利用した方が良い場合もあるでしょう。
マッチング支援を利用するためにはメリット・デメリットをきちんと理解した上で、信頼できる専門家に相談しましょう。自社が抱える現状の課題などを改めて見つめてプランニングしていくことが大切です。
「後継者がいない」という理由で、黒字廃業を選ぶ中小企業経営者が、全廃業のうち、3割を超えています。
独自の技術や知見が、後継者不足によって失われることは、日本経済の衰退を加速させることに他なりません。
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