事業承継前に知っておくべきリスクを紹介
事業承継にはさまざまなリスクがあります。
事業承継を成功させるためには、リスクをしっかりと理解しておくことが大切です。
ここでは、特に知っておくべきリスクを3つご紹介します。
負債や個人保証も引き継ぐことになる
事業承継で後継者が引き受けるのは、経営権や資産などのプラス財産だけではありません。
企業が設備投資などで負債を抱えている場合は、そのマイナス財産も引き継ぐことになります。
特に、負債が多額にのぼる場合は、後継者は返済に追われることになるでしょう。
経営者の「個人保証」が引き継がれる点も要注意です。
個人保証とは、会社が金融機関から借り入れを行う際、経営者が個人的に連帯保証を背負うこと。
近年では、金融機関が個人保証をつけないケースもありますが、赤字が長年続いているような企業では、金融機関側から個人保証を求められる場合があります。
後継者と従業員が対立する可能性がある
経営者が変わることで従業員が反発したり、対立が発生したりする場合があります。
例えば、親族内承継で経営者の子どもが後を継ぐ場合、経営者の年齢が一気に若返って世代間の認識のズレが生じたり、経営方針を大きく変えることで昔からいる従業員に受け入れてもらえなかったりするので注意しましょう。
場合によっては多くの離職者が出てしまうため、従業員の理解が得られるよう配慮を行うことが大切です。
相続では遺留分を求められるケースもある
企業が持っている資産を相続させるために、現経営者が親族から後継者を選び、遺書を作成する場合があります。
しかし、後継者に兄弟がいるなど、複数の相続人が存在するケースでは、残りの相続人から「遺留分」を求められる可能性があるので注意しましょう。
「遺留分」とは、相続人に最低限保障された遺産取得分のことです。
他の相続人が権利を主張した場合は、その分会社の資金が減少し、経営に影響を及ぼす可能性があります。
事業継承におけるリスクへの対策
事業承継を成功させるためには、こうしたリスクに備えて対策を行うことが大切です。
対策としては、以下の3点が考えられます。
早めに対策を行う
企業が持つ資産を次世代に継承するためには、事業承継が不可欠です。
にもかかわらず、取り組めていない・取り組みが遅くて事業承継に失敗する企業が多いようです。
事業承継は、今日明日ですぐにできるようなものではありません。
現時点で経営者に体力・気力があって後継者の必要性を感じていなくても、数年後には死活問題になっているかもしれないのです。
一般的に、事業継承には社内教育や取引先との関係構築など多くの時間が必要なため、実際に後継者へ引き継ぐまでに5年から10年かかると言われています。
経営者の平均引退年齢は70歳前後とされるので、60歳ごろには事業承継の準備をスタートした方が良いでしょう。
経営における問題点を解決しておく
後継者が安心して事業を承継できるように、経営課題を解決しておくことも重要です。
まずは、経営状態・財務状態を明確にしましょう。
財務諸表などを作成して会社の現状を「見える化」しておけば、後継者も無駄な不安を抱えなくて済みます。
自社の現状や成長性、あるいは企業としての強みや弱みを客観的に分析したら、業績の改善や経費の削減、商品やブランドイメージの向上、金融機関や株主との関係構築、優れた人材の確保なども行いましょう。
後継者にとって、その事業を引き継ぐことが魅力的に思えるような経営改善を行うことが大切です。
専門家に相談する
規模の小さい会社や、自身の子どもに事業承継を行う場合、費用を抑えるためにも「自力でやろう」と考える経営者が多いようです。
ですが、事業承継は決して簡単なものではありません。
会社の規模や状況によって進め方や手続きの方法が異なる上、経営改善や事業承継計画の策定など専門的な知識が必要だからです。
専門家へ相談せずに自力で進めようとすると、スムーズに事業承継できないばかりか、税負担が大きくなってしまったり、法的な不備が見つかったりするかもしれません。
このため、事業承継を行う際は、必ず専門家へ相談しましょう。
相談先にもいろいろある
一口に事業承継の相談先と言ってもさまざまあり、相談先によって特徴が大きく異なります。当メディアでは14の相談先や承継先についてまとめていますので、ぜひご覧ください。
「後継者がいない」という理由で、黒字廃業を選ぶ中小企業経営者が、全廃業のうち、3割を超えています。
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