岐阜の会社売却・事業承継の現状
帝国データバンクでは、各都道府県の経営者に向けて後継者不在に関するアンケート調査を実施。後継者がいるかどうかという質問に対し、「いない」または「未定」と回答した企業を「後継者不在」としています。
2022年に行われた同調査によると、岐阜県内にある企業のうち、実に全体の62.9%が後継者不在という結果。全国平均は57.2%で、岐阜の後継者不在率は全都道府県のうち9番目に高い数値となっています。
ちなみに最も低い数値は三重県の29.4%。岐阜と隣接し「東海三県」の1つでもある三重県ですが、両県の後継者不在率には大きな差異があります。
岐阜は全国的に「モノづくり」が盛んで知られる県。モノづくり企業の後継者が見つからないという現状を反映しているのかもしれません。
岐阜の会社売却・事業承継の動向
やや古いデータになりますが、公益財団法人・岐阜県産業経済振興センターが公開した「後継者問題に関する特別調査」(2016年)によると、調査対象となった県内企業のうち約89.6%が「事業を継続させたい」と回答しています。逆に「廃業したい」と回答した企業は10.4%。ほとんどの経営者が、事業承継をして自社を存続させたいと考えている実態が伺えます。
同じ調査において「後継者なし」と回答した企業の比率は22.4%と低い数値を示しましたが、以後の長引く不況や様々な状況変化により、2022年における後継者不在率は62.9%(帝国データバンク)。後継者不在問題が急速に悪化している状況です。
会社売却・事業承継が順調に進んでいれば、このような急速な数値の悪化は見られなかったかもしれません。現在までのところ、岐阜県内では会社売却・事業承継が順調に推移していないと判断されます。
商工会・商工会議所による支援の実態
M&A仲介会社は全国をターゲットにしているので「地方だから都心と大きく変わる」という事はありませんが、地方は地方銀行や信金が一部の事業承継を担っています。
また、地方になれば国税等に勤めていた重鎮の税理士が居る税理士事務所が強い力を持っています。ただ、買手ネットワークは少ないため、 オーナーから頼まれた大きな案件ですとM&A仲介会社に紹介して紹介フィーを得ているのが実情です。
仲介会社が扱えない小規模の案件であれば、税理士事務所の職員がネットのバトンズ等に掲載する等して探す、又は諸侯会議所や事業引継センターに紹介されています。 ただ、「なかなか決まらない」「後継者が現れる事もほぼない」という声が多々あります。
各エリアの引継ぎ支援センターの実態
地方の引継センターの実態は詳細は分からないものの、「小規模案件を取り扱う」という意味ではそれなりの役割を果たしていると思われます。
実際に商工会や引継ぎ支援センターへお願いすべき社長は?
小規模な企業の社長におすすめです。フィーが無料だから良い訳ではないので少し規模があれば、よりインセンティブを持つ仲介会社、営業利益が10億円を超える等の会社は より大手のM&Aアドバイザーを選ぶ等を検討するのが一般的にはおすすめです。
岐阜の会社売却・事業承継先を探す手段
後継者不在問題を抱えている岐阜県内の経営者に向け、会社売却先や事業承継先を探す主な手段をご紹介しましょう。
親族を後継者にする
自分と同じ苦労をさせたくないことなどを理由に、子供をはじめ親族への事業承継を考えていない経営者がいます。
しかしながら、事業承継は現・経営者の一存で決めるものではなく、承継する側の意思も尊重して決めるもの。事業承継する意思があるかどうか、しっかりと向き合って話し合ってみてはいかがでしょうか。
社員を後継者にする
信頼できる優秀な社員が事業承継してくれれば、経営者としてはとても安心です。
ただし、一般的に社員への事業承継では、経営者が持つ全株式を該当社員へ売却する形をとります。数億円、数十億円になることも珍しくありませんが、社員が相応の資力を持つかどうかが問題です。
事業承継・引継ぎセンターを利用する
地域の中小機構や自治体には、事業承継・引継ぎの相談を受け付ける窓口が設置されています。相談を通じ、実際に事業承継が成立した実績も豊富なので、信頼できる窓口の1つであることは間違いありません。相談料は無料なので、時間を見つけて気軽に相談してみましょう。
M&A仲介業者のサービスを利用する
民間のM&A仲介業者に相談する方法も有効です。業者によってサービスの質や実績に大きなバラつきがあるため、事前に候補となる業者に関して十分にリサーチしてから相談に赴いてみましょう。
M&Aプラットフォームサイトを利用する
企業の「売りたい」と「買いたい」をマッチングするWebサービスがM&Aプラットフォームサイト。登録がとても簡単なので、他の事業承継サービスと併せて利用している経営者も少なくありません。
「買いたい」という相手方が現れた後のサービス内容は、Webサイトを運営する業者によって異なります。
銀行・証券会社に相談する
事業承継の相談窓口を設置している銀行・証券会社は少なくありません。普段から付き合いのある銀行等に相談すれば、親身になって承継者を探してくれることでしょう。
以上でご紹介した相談先のほかにも、弁護士や公認会計士、税理士、司法書士などが事業承継の相談に応じていることもあります。ただし士業の場合、必ずしも事業承継が得意分野とは限らないので、相談する場合には過去の実績を確認してみることが大切です。
また近年では、従来とは異なるタイプの事業承継支援を行う一般社団法人日本プロ経営者協会も注目されています。相談先の1つとして念頭に置いておきましょう。
理想の後継者を求める経営者のためのプラットフォーム
後継者不在問題に直面している岐阜の経営者には、ご紹介した通り、たくさんの相談窓口があります。一人で問題を抱えず、まずは外部に相談するなどの積極的なアクションを取っていきましょう。
ただし、いずれかの窓口から事業承継の候補者が見つかったとしても、その候補者が自社の理念や方針、文化をよく理解できるかどうかは分かりません。もとより、自社を成長させるスキルや経験があるかどうかも未知数です。適任と信じて招いた後継者が、逆に事業や従業員の混乱を招いてしまう事態は避けたいものです。
そのような事態に陥るリスクを抑えるため、よりふさわしい後継者とのマッチングの場を提供しているのが一般社団法人日本プロ経営者協会。後継者として求める条件を詳細に提示し、それらの条件に適したプロ経営者が手を挙げる事業承継のプラットフォームです。
2023年現在、同協会に所属しているプロ経営者は約1,500名。後継者不在というピンチをチャンスに変える場として、全国多くの現役経営者から注目を集めています。
「後継者がいない」という理由で、黒字廃業を選ぶ中小企業経営者が、全廃業のうち、3割を超えています。
独自の技術や知見が、後継者不足によって失われることは、日本経済の衰退を加速させることに他なりません。
その解決に、コンテンツという形で貢献するために生まれたメディアです。