広島の会社売却・事業承継の現状
広島県では産業分野として「ものづくり」が盛んであり、特に輸送用機械や鉄鋼業、生産用機械といった業界が広島県における製造品出荷額等の過半数を占めています。また、ハイテク産業から地場産業まで幅広い技術やノウハウを有する企業も様々に存在しており、関西経済圏と九州経済圏の接続ポイントとして地域特性を発揮していることも見逃せません。
しかし、そのような産業分野における強みを持っている一方、広島県内の推計人口は平成10年の県総人口ピーク(2,885,617人)から令和6年(2,722,362人)に至るまで右肩下がりを続けており、特に令和2年頃からの減少率が大きくなっていることも事実です。
また広島県内の人口の変化は転入・転出といった社会増減よりも、出生と死亡の差による自然増減が圧倒的に多くなっており、病気や加齢といった影響で今後も人口減少が進んでいくリスクは無視できません。
加えて、帝国データバンクが2023年に行った実態調査によれば、広島県内の企業における後継者不在率は56.6%と過半数を上回っており、これから広島県では一層に後継者不足による企業経営の困難さが社会的課題として注目されていくと考えられます。そのため広島県内で事業を営んでいる企業にとって、事業承継や後継者問題について早めに対策を講じることが大切です。
広島の会社売却・事業承継の動向
ものづくりが盛んな広島県には日本が世界に誇れる技術や製品が多々存在しており、民間企業はもちろんとして広島県や市町村など行政にとっても事業承継や技術の継続、技術者の活躍といったテーマは重要なものとなっています。
実際、帝国データバンクの調査によれば2023年12月時点で広島県内の企業経営者(社長)の平均年齢は60.6歳となっており、過去最高を更新していることもポイントです。 広島県内では様々な企業がM&Aや会社売却、事業承継などを行っており、例えば以下のような一例があります
株式会社フジによるフジ・リテイリングとマックスバリュ西日本の吸収合併
株式会社フジは広島県広島市に本社を置くショッピングセンターやスーパーマーケットの運営会社であり、事業会社としてフジ・リテイリングやマックスバリュ西日本なども存在しました。しかしフジは2024年3月1日をもって、その2社を吸収合併し、フジを存続会社とする合併契約を締結しています。
SRホールディングス(SRHD)によるTeam39の子会社化
広島県福山市に本社を構えるSRホールディングス(SRHD)は物流や不動産事業、アパレル事業などを取り扱う企業です。同社はさらなる多角経営や新規事業の創出を目指して、元Jリーガーの藤田豊氏が設立したスポーツ施設運営会社のTeam39の全株式を取得して子会社化しました。
広島の会社売却・事業承継先を探す手段
広島県では官民一体となって経営者の後継者探しや事業承継、会社売却のサポートを行っています。具体的に会社の行く末について相談する方法としては、事業再生コンサルタントのような民間の専門家へ相談する方法と、公的機関や金融機関へ相談するといった方法の、大きく2パターンが考えられるでしょう。
専門家へ相談する
事業再生コンサルタントや事業承継仲介会社など、企業の事業承継や会社売却といった戦略について専門家としてサポートを行っている事業者が存在します。
事業再生コンサルタントはクライアントとなる会社の経営者から、現在の会社の状況や経営の状態、後継者の有無、そして本人の要望などを含めてヒアリングを行い、どのような手段や方法が経営者や会社の未来にとって適切であるか検討してくれることがポイントです。
また、事業再生コンサルタントの中には実際に後継者の候補となる人材を紹介したり、後継者の育成についてプランを構築してくれたりと、具体的な解決策を提案してくれることもあります。そのほか、どうしても事業承継が難しいと判断されれば、現在の条件をベースとして会社の売却先を選定し、交渉をサポートしてくれるといったサービスも期待できるでしょう。
公的機関や金融機関へ相談する
広島県では、経営者の高齢化や地元企業の将来的な存続といった課題に対して行政によるサポートも行っております。例えば国と広島県が連携して「広島県事業承継・引継ぎ支援センター」を設置して、次世代への事業承継や技術継承を支援していることも重要です。
同センターでは事業承継についての相談を無料で行えるほか、会社を売りたいと考えている譲渡希望の事業者や、会社を買いたいと考えている譲受希望の事業者などについて、それぞれ情報をリスト化して公開していることも見逃せません。また、新しく会社を起業したいと考えている人材と、後継者不在の事業者のマッチングを行う「後継者バンク」事業にも取り組んでいます。
そのほか、広島県内で事業承継について考える際、数多くの地元企業と取引のある広島信用金庫といった金融機関へ相談することも有効です。なお広島信用金庫では中小企業のために事業承継支援を行っています。
いずれの相談先でも重要なポイントは行政や金融機関などが中心となって、地元企業や人材ネットワークを展開しており、新しい出会いを客観的に評価してくれることとなります。
理想の後継者を求める経営者のためのプラットフォーム
後継者を探す方法はM&Aや事業承継ファンド、サーチファンドなどがあります。しかし、M&Aは相手先が決まらないと後継者が分からない、事業承継ファンドは株式譲渡後にしか後継者を探せない、そしてサーチファンドは若手の経営者しかさがせないといったマイナス面も気になるでしょう。事業に合った経営者に事業を承継したいと考えた時、既存のシステムでは無理があるかもしれません。
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