医薬品の臨床開発に欠かせないSMO(治験施設支援機関)として各種支援サービスを提供している株式会社ファルマ。
売上規模が数億円と決して大きくないものの、医学への絶大な貢献を武器にして安定的に利益を出されているファルマの代表を務めていた山田氏が、現社長の中村氏に事業承継を行うまでをお伺いしました。
前代表・山田氏に聞く
(前代表)
山田正広氏
Q.いつ頃後継者問題について
考え始めたのでしょうか?
気づけば世間で言われる定年の歳に
2021年ごろ、いつの間にか私も世間で言われる定年の歳を迎え、頭や体の老化現象に気付き始めました。
しかし、会社を継続するための後継者を育てる努力をしてこなかった。会社を良い状態で今後にも存続させていくことは、私の最大な使命であると考えました。
ちょうどそのころ、大手証券会社から株を売りませんかという営業電話があり、これもタイミングかもしれないと思い、一度話を聞くことにしました。
それを機に自分でもM&Aについて調べ、検索を繰り返し、M&Aキャピタルパートナーズに辿り着きました。
M&Aキャピタルパートナーズの担当者様がとても誠実で、本当にファルマのことを思って買い手を探してくれていることが伝わったので、その後は他の仲介会社を探すことはしていません。
Q.後継者が中村氏に決まった経緯を教えて下さい
候補のファンドが探してくれた
M&Aパートナーを探していただく中で、候補としてファンド1社が上がってきました。そのファンドが、日本プロ経営者を運営しているマラトンキャピタルパートナーズでした。
ファンドでは従業員が人員整理の対象になってしまったりしないだろうか。後継者についても、人間性も能力も素晴らしい後継者を本当に連れてきてくれるのだろうかと、最初のうちは心配が絶えませんでした。
しかし、何度も何度も仲介会社の担当者様を介して、私が思う理想の後継者のヒアリングが行われ、プロ経営者協会のスキームを活かして、マラトンキャピタルパートナーズが本当に真剣に後継者を探してくださいました。
人柄が決め手になった
ヒアリングを経て、日本プロ経営者協会から、2名の候補が紹介され、それぞれと面談を行いました。
ヘルスケア領域の知見やグローバルに活躍されていることなど、スキルやご経験はおふたりとも申し分なく、あとは人柄という点で、どちらの方が弊社に合うのか、自分自身で見極める時間をいただいたという形です。
面談では、どのように想いを引き継ぎ、ファルマを成長させてくれるのかということをお話しいただきました。
もうお一方も素晴らしい方だったのですが、中村さんの人柄が決め手になりました。
会社の現在の能力や組織風土の維持を約束してくれたこと。今まで以上に従業員の働きやすい環境を備えてくれると思い、中村さんに託そうと決意しました。
Q.今回の事業承継に満足されてますか?
理想な体制が作れたことに感謝しかない
M&Aキャピタルパートナーズとマラトンキャピタルパートナーズには、私の理想とした会社存続について、余すことなく相談に乗っていただき、理想な体制を作って下さったことに感謝しかありません。
中村社長は、経営コンサルティングを専門とするご経歴を持ち、ご自分でも会社を経営されていた実力者です。
短期間で会社の無駄なところを割き、業務ツールやプロセスのデジタル化を導入するなど業務効率を改善してくれました。
そして、まずは従業員の要望を聞き入れてくれるなどのコミュニケーションを図り、私には無かった力を存分に発揮してくれました。
営業にも重点的に力を注がれ、今後の更なる発展が大いに楽しみです。
現代表・中村氏に聞く
代表取締役
中村優介氏
Q.中村氏のご経歴を教えてください
ヘルスケアベンチャー代表経験も
大学を卒業後、外資系コンサルティングファームでヘルスケアを中心にキャリアを積み、プライベートエクイティファンドでの投資や企業再生も経験したなかで、直近でヘルスケアベンチャーの代表を勤めた経験があります。
Q.なぜファルマの代表になろうと思ったのですか?
今回代表を引き受けた理由は三つ
一つはファルマのような小さいけどキラリと光る会社が創業者の引退により、医学への貢献を止めてしまうのは大きな損失だと思ったこと。
二つ目は自身の資質として、0から1を作り出す創業者タイプではなく1を10にでも100にでもすることを得意としていること。
三つ目は経営者になる前は自身の成長や成果に喜びを見出してきたのですけれども、経営者になってから顔の見える個々の従業員が成長し、組織としてできることが増えていくことの喜びが遥かに大きいことに気が付いたことです。
Q.代表としてファルマに入られ、
会社の雰囲気はどうお感じになられましたか?
良いカルチャーを持つ、モチベーションが高い会社
ファルマはほぼ9割が女性というユニークな会社ではあるのですが、創業者の山田顧問が醸成したカルチャーは、従業員の一人ひとりが医学の発展のため、患者さんに最新の医療を提供するため、一丸となりモチベーション高く働いているもので、本当に素晴らしい会社でした。
良いカルチャーを持つ会社でしたので、まずは「私がこうしたい」「こうすべきだ」という話ではなく、皆がもっと頑張るため、効率的に働けるためにはどうしたらいいか、という話から始めました。
最初に上がった声は椅子を買いなおしてくれ、ということでしたので、コーポレートカラーと一緒の椅子を早速購入し、従業員に新社長は話が早いということを理解してもらったと思います。
Q.社員のみなさんの不安を払拭するために行ったことはありますか?
コミュニケーションを密に取りました
株式譲渡の翌日から創業者の山田さんが顧問に退き私が代表に就任する形でしたので、おっしゃるように、従業員が不安を抱かないようにコミュニケーションを密に取りました。
各人とのランチや個人面談、社員旅行の実施、経営改善のアクションの定期的な共有、チャットツール導入によるコミュニケーションのハードルを下げることなどを実施しました。
後継者を考えないまま定年の年齢だったという、本来の事業承継を考えたら遅いタイミングでしたが、山田氏のそこからの判断・行動力、M&Aキャピタルパートナーズの担当者の誠実さ、マラトンキャピタルパートナーズの、自社が運営する日本プロ経営者協会というプラットフォームを活用した適切な後継者探し。
その全てが噛み合ってファルマ社の事業承継は成功に導かれました。
日本プロ経営者協会には1,500人が登録していますが、なぜ中村氏のような優秀な経営者がそれだけ集まるのかには理由があります。
プロ経営者+ファンドを使った、そのスキームの詳細は、公式サイトで確認してください。
「後継者がいない」という理由で、黒字廃業を選ぶ中小企業経営者が、全廃業のうち、3割を超えています。
独自の技術や知見が、後継者不足によって失われることは、日本経済の衰退を加速させることに他なりません。
その解決に、コンテンツという形で貢献するために生まれたメディアです。