当サイトでは後継者不在による事業継承問題を抱える中小企業の経営者に向け役立つ情報を提供しています。
このページでは、問題解決のために日本政策金融公庫が提供する事業承継マッチング支援についてまとめています。
日本政策金融公庫の
「事業承継マッチング支援」とは
事業承継マッチング支援とは、後継者不在で「事業を譲り渡したい」企業と創業や新分野進出などを目的として「事業を譲り受けたい」企業をつなぐ、日本政策金融公庫(略称:「日本公庫」)が提供しているマッチングサービスのことです。
大企業が入って行われるM&A(企業の合併・買収)とは性質が異なり、主に日本公庫に事業資金の借入残高がある中小企業や小規模事業者を対象としています。
譲渡希望・譲受希望会社共に無料でサービスを受けることができます。
近年、後継者が見つからずに廃業する企業が増えていますが、その際に設備や在庫の処分や事務所・店舗の原状回復などで費用が発生します。
事業を譲渡する場合は、こうした費用が不要になるだけでなく譲渡の対価も得られます。
日本公庫の専任担当者が、希望や条件をヒアリングした上で譲渡の相手先企業(マッチング候補)を探してくれるため面倒な手間はかかりません。
またマッチング後に困ったことが発生しても相談に応じてもらえるので安心です。
小規模事業者向け&無料ゆえに
「譲り渡す」気持ちで使う
事業承継マッチング支援と同様のサービスにM&A仲介業者が相手先を探したり、インターネット上で売り手と買い手をマッチングするM&Aプラットフォームサイトなどがありますが、利用には費用がかかるのが基本です。
その点、事業承継マッチング支援は無料サービスで、対象は融資先の約9割を占める従業者数9人以下の小規模事業者です。
マッチング自体も小規模なものですので、理想の後継者と出会うプラットフォームとしてはあまり期待できません。
後継者不在のまま廃業してしまうと、これまで培ってきた技術やノウハウ、従業員も失うことになりますが、このサービスを利用することで救うことが可能です。
「譲り渡す」くらいの気持ちで使うことをおすすめします。
ここまでにご説明した通り、事業承継マッチング支援は、「譲る」ためのプラットフォーム。売上が数億〜あるような企業では、正直M&Aなどを行った方が、会社の成長のためになります。
しかし、M&Aだと売る会社が決まってからでないと、後継者がわからないので、安心できないからイヤだとお考えの経営者も多いのではないでしょうか。
そういった点をクリアするために生まれたのが、「日本プロ経営者協会」です。
後継者の経験・資質・学歴などの条件をオーナーが挙げ、オーナーの条件に合う、かつその会社を経営したいプロフェッショナルが手を挙げる。所属するプロ経営者の数は、2023年3月時点で1,500名というプラットフォームです。
後継者が銀行保証に入る事は無く、ストックオプションなどの魅力的なインセンティブ設計を行うことで、後継者にもメリットがあるため、中小企業では招聘困難なスキルを持った後継者の招聘が可能となります。
このように、中小企業経営者が後継者を探すためのプラットフォームは、知らないだけで色々存在しますので、ぜひ当メディアで情報収集をしていただければと思います。
「事業承継マッチング支援」の
利用の仕方や手順
事業承継マッチング支援の利用は、相談・申込み→相手先探し→詳細確認・検討→面談・交渉→譲渡契約の締結といった流れで進められます。
これに沿って譲渡する側の立場から詳しい手順についてご説明します。
支援申込書に入力
事業を譲り渡したい企業はまず支援申込書の入力をして、決算書等の提出まで行います。
入力項目には地域や業種、事業内容、事業の譲渡理由、アピールポイントなどを入力しますが、情報が詳細過ぎると特定されるリスクがあります。
逆に文字量が少ないと特定リスクは減りますが、どのような事業を行っているのかが相手企業に伝わりにくくなりますのでポイントを整理しておくことが重要です。
特に技術・ノウハウを含めどこまでの事業を継続できるかを明確にします。
相手(譲渡先)探し
専任担当者が支援申込書の情報からノンネームシートを作成する。
譲渡企業は譲受希望リストからノンネームシートの提示先を選びます。
相手(譲渡先)から交渉の希望があった場合は秘密保持契約書を結び、情報開示を行います。
譲受を検討している企業の情報も知ることになるため、情報管理の徹底が求められます。
交渉しても会社の状況や希望条件により決まるとは限りません。
自社の魅力をどの程度アピールして理解してもらえるかがポイントです。
トップ面談
相手企業の経営者と実際に会って、経営や事業に対する考え方などを共有する面談の場が設けられます。
トップ面談はビジネスの話だけでなく、相手の人柄や相性などを判断する場でもあり、そこで信頼関係を構築するのが目的です。
お互いよい感触が得られ事業承継が進みそうな場合でも、情報漏れのリスクを避けるため一部の役員などを除き従業員への開示は行いません。
また途中で譲渡条件を変更するなど、不信感を持たれるような行動は慎みます。
基本合意・デューデリジェンス
トップ面談などで交渉を重ね、概ね事業継承に進みそうな段階で意向表明や基本合意をします。
その時点で合意している事項を書面で締結するのが基本合意で、一般的には相手企業に独占交渉権が付与されることになります。
これまでの交渉で確認した資料やデータの内容に信憑性があるかどうか譲受企業が譲渡企業に対して行う調査(デューデリジェンス)が専門家を通じて実施されます。
譲渡契約の締結
デューデリジェンスの結果をもとに最終的な条件が確定したら譲渡契約の締結に進みます。
株式譲渡の価格や事業譲渡では譲渡対象資産・負債の範囲、譲渡価格、譲渡実行日まで細かな項目まで確認が必要です。
法的な問題がないかなどをチェックするため専門家のサポートが必要になります。
譲渡契約書は企業同士の重要な契約になりますので、後々トラブルになることを回避するためにも専門家に支援をしてもらうことが推奨されます。
「後継者がいない」という理由で、黒字廃業を選ぶ中小企業経営者が、全廃業のうち、3割を超えています。
独自の技術や知見が、後継者不足によって失われることは、日本経済の衰退を加速させることに他なりません。
その解決に、コンテンツという形で貢献するために生まれたメディアです。