群馬の会社売却・事業承継の現状
帝国データバンクが2022年に発表した資料によると、群馬県における後継者不在率は57.2%。意外なことに、同調査を開始して以来、最低の数値となりました。
後継者不在率が下がった主な理由は、新型コロナウイルス感染拡大により経営者が自社事業の将来に対して真剣に向き合うようになったこと、地域の金融機関を含めた事業承継の相談窓口が増えたこと、および全国的に事業承継を支援するサービスが普及したことなどにあると推察されます。
ただし、数値の推移だけに注目すれば低下しつつある後継者不在率ですが、群馬の過半数の企業が後継者不在問題を抱えているという深刻な現実は、消しようがありません。
調査の同年における群馬県の企業経営者の平均年齢は60.7歳。14年連続の最高齢更新という事実も直視しなければなりません。
後継者不在のまま経営者が引退すれば、たとえ地域では優良経営が知られる黒字企業だったとしても廃業・休業・解散を余儀なくされます。同じく帝国データバンクの調査によると、2021年に群馬県内で休廃業・解散した企業は901社。4年ぶりの増加です。ちなみに休廃業・解散した企業の業種で最多だったのは建設業です(132件)。
休廃業・解散件数の増加の背景には、新型コロナウイルス感染拡大などもあると思われますが、ほかにも後継者不在が主要な原因だったことは間違いないでしょう。
群馬県内に関わらず、全国各地で同様の問題が生じています。
群馬の会社売却・事業承継の動向
後継者不在問題が蔓延する群馬県内ですが、この事態を自治体等が放置しているわけではありません。
県をはじめ、市町村レベルでも地域の中小企業の事業承継を円滑化する様々な支援事業を行っています。また、県内の商工会議所と金融機関がタイアップし、県内の中小企業の事業承継を支援する取り組みも行っています。
これら施策の成果があってか、2022年における群馬県のM&A件数は32件と、過去最高件数をマーク。経営者の自助努力に一任する形ではなく、関係者全体が協力して群馬経済の維持・発展に向けた努力をしています。
もちろん、これらの取り組みが続けば、事業承継問題は少しずつでも良い方向へ向かうと思われますが、後継者不在のまま数年以内に事業承継という現実が待っている企業にとって、取り組みの恩恵を享受できるかどうか定かではありません。
商工会・商工会議所による支援の実態
M&A仲介会社は全国をターゲットにしているので「地方だから都心と大きく変わる」という事はありませんが、地方は地方銀行や信金が一部の事業承継を担っています。
また、地方になれば国税等に勤めていた重鎮の税理士が居る税理士事務所が強い力を持っています。ただ、買手ネットワークは少ないため、 オーナーから頼まれた大きな案件ですとM&A仲介会社に紹介して紹介フィーを得ているのが実情です。
仲介会社が扱えない小規模の案件であれば、税理士事務所の職員がネットのバトンズ等に掲載する等して探す、又は諸侯会議所や事業引継センターに紹介されています。 ただ、「なかなか決まらない」「後継者が現れる事もほぼない」という声が多々あります。
各エリアの引継ぎ支援センターの実態
地方の引継センターの実態は詳細は分からないものの、「小規模案件を取り扱う」という意味ではそれなりの役割を果たしていると思われます。
実際に商工会や引継ぎ支援センターへお願いすべき社長は?
小規模な企業の社長におすすめです。フィーが無料だから良い訳ではないので少し規模があれば、よりインセンティブを持つ仲介会社、営業利益が10億円を超える等の会社は より大手のM&Aアドバイザーを選ぶ等を検討するのが一般的にはおすすめです。
群馬の会社売却・事業承継先を探す手段
後継者不在問題を抱えている群馬県内の経営者に向け、会社売却先や事業承継先を探す主な手段をご紹介しましょう。
親族を後継者にする
後継者不在問題を抱える経営者は、必ずしも子供がいないわけではありません。すでに就職して別の土地で世帯をいるなどの理由で、子供世帯に迷惑をかけたくない気持ちから後継ぎを打診していない例もあります。
まずは、お子様を始めとした親族へ相談を持ちかけてみてはいかがでしょうか。
社員を後継者にする
自社の優秀な社員を後継者にする、という方法もあります。十分に仕事を知っている信頼の社員であれば、安心して会社を引き継ぎできるかもしれません。
しかしながら、その社員が会社の株式を買い取れる資力があるかどうかは別問題。長く安定経営を続けてきた中小企業の場合、時価が数億円になることも珍しくありません。
事業承継・引継ぎセンターを利用する
自治体や中小機構では、後継者不在問題を抱えた経営者を含め、あらゆる方々からの事業承継・引継ぎの相談に対応しています。第三者承継をバックアップした実績も豊富なので、ぜひ地域のセンターまで相談してみると良いでしょう。相談料は無料です。
M&A仲介業者のサービスを利用する
M&A仲介業者やM&Aコンサルティング会社などに相談し、自社の売却相手を探してもらう方法も一般的です。
仮に、御社の買収に興味のある企業が現れたとしても、M&A成立後の従業員が不合理な処遇に晒されないよう、相手方と慎重に話し合いを重ねる必要があるでしょう。
M&Aプラットフォームサイトを利用する
M&Aプラットフォームサイトとは、企業同士の「売りたい」「買いたい」をマッチングするサイトのこと。仲介業者を利用するよりも手軽かつ低コストで利用できる点が特徴です。
運営業者によりサービスの内容や質にバラつきがあるため、実績豊富な信頼できるプラットフォームを選ぶことが大切です。
銀行・証券会社に相談する
中小企業のM&Aを支援している銀行・証券会社は多々あります。ただし、M&A支援サービスに対する実績や熱量は銀行・証券会社により大きく異なるため、相談先を選ぶ際には慎重にリサーチする必要があるでしょう。
自社が窓口となり、M&A仲介会社に実質的な業務を一任している銀行・証券会社も少なくありません。
以上のほかにも、公認会計士や税理士、弁護士、司法書士などの士業に相談する方法や、日本政策金融公庫や商工会議所などに相談する方法もあります。また近年では、一般社団法人日本プロ経営者協会へ相談する事例も急速に増えてきました。
理想の後継者を求める経営者のためのプラットフォーム
群馬県で会社売却先・事業承継先を探す手段は、たくさんあります。
ただし、それらの手段にはメリットだけではなくデメリットも隠れていることを理解しなければなりません。もとより、事業承継の相手は誰でも良いわけではありません。長年にわたり大切に育ててきた会社を引き継いでもらう以上、後継者となる人物の経験・資質も十分に知る必要があるでしょう。
そのような経営者の要望に応えるべく生まれたのが、一般社団法人日本プロ経営者協会。希望する後継者の条件を細かく挙げ、その条件にマッチした経営プロフェッショナルが手を挙げる場を設けています。
2023年3月現在、同協会に所属するプロ経営者の人数は約1,500名。中小企業における事業承継のためのプラットフォームとして、従来とは異なる質の高いサービスを提供する場です。
「後継者がいない」という理由で、黒字廃業を選ぶ中小企業経営者が、全廃業のうち、3割を超えています。
独自の技術や知見が、後継者不足によって失われることは、日本経済の衰退を加速させることに他なりません。
その解決に、コンテンツという形で貢献するために生まれたメディアです。