高知の会社売却・事業承継の現状
帝国データバンクの調査によると、高知県にある中小企業における後継者不在率は59.1%(2020年)。ちなみに、同じ四国で比較すると、徳島が50.2%、香川が47.7%、愛媛が62.8%。同じ年の全国平均65.1%に比べれば、高知または四国全体の後継者不在率はやや低めとなっています。
ただし、時系列データを確認してみると、高知の59.1%という数値は2011年からの調査の中で最も高い比率。少子高齢化も背景に、県内での会社売却・事業承継事情は緩やかに悪化している模様です。
業界別で見ると、建設業の後継者不在率が際立ちます。高知県における2020年の建設業後継者不在率は68.3%。実に、10社のうち約7社が会社売却・事業承継の見通しが立っていないという現状です。
売上規模別で見ると「1億円未満」が最多、従業員数別で見ると「10人未満」が最多と、規模の小さな企業であればあるほど後継者不在問題が深刻化しています。
高知の会社売却・事業承継の動向
帝国データバンクでは、2018年以降に事業承継が行われた四国地区879社について、先代経営者との関係を調査。高知県では次のような結果となっています。
・同族承認…48.8%
・内部昇格…36.6%
・外部招聘…9.8%
・創業者…2.4%
もっとも高い比率を示したのが同族承認。外部から経営者を招いた比率は9.8%で、全国平均の8.3%より少し高い比率です。
なお、同族承認として事業承継した属性で最も多かったのが経営者の子供。高知では、同族承認のうち約41.4%が子供への承継となっています。
商工会・商工会議所による支援の実態
M&A仲介会社は全国をターゲットにしているので「地方だから都心と大きく変わる」という事はありませんが、地方は地方銀行や信金が一部の事業承継を担っています。
また、地方になれば国税等に勤めていた重鎮の税理士が居る税理士事務所が強い力を持っています。ただ、買手ネットワークは少ないため、 オーナーから頼まれた大きな案件ですとM&A仲介会社に紹介して紹介フィーを得ているのが実情です。
仲介会社が扱えない小規模の案件であれば、税理士事務所の職員がネットのバトンズ等に掲載する等して探す、又は諸侯会議所や事業引継センターに紹介されています。 ただ、「なかなか決まらない」「後継者が現れる事もほぼない」という声が多々あります。
各エリアの引継ぎ支援センターの実態
地方の引継センターの実態は詳細は分からないものの、「小規模案件を取り扱う」という意味ではそれなりの役割を果たしていると思われます。
実際に商工会や引継ぎ支援センターへお願いすべき社長は?
小規模な企業の社長におすすめです。フィーが無料だから良い訳ではないので少し規模があれば、よりインセンティブを持つ仲介会社、営業利益が10億円を超える等の会社は より大手のM&Aアドバイザーを選ぶ等を検討するのが一般的にはおすすめです。
高知の会社売却・事業承継先を探す手段
後継者不在問題を抱えている高知県内の経営者に向け、会社売却先や事業承継先を探す主な手段をご紹介しましょう。
親族を後継者にする
経営者自身の子供をはじめ、仕事を知る親族へ事業承継する方法は王道です。しかしながら昨今は、子供に苦労させてまで事業承継したくないと考える経営者や、子供がすでに自立して世帯を持っていることを理由に後継者の対象から除外している例も見られます。
事業を承継するかどうか、まずは子供・親族の意見を率直に聞いてみる必要があるでしょう。
社員を後継者にする
信頼できる社員を後継者に抜擢するという方法も有効です。
ただし、会社を社員に継承するためには、一般的に全ての株式を当該社員に買い取ってもらわなければなりません。資力のある社員であることが前提となります。
事業承継・引継ぎセンターを利用する
自治体や中小機構に設けられた事業承継・引継ぎセンターに相談してみても良いでしょう。後継者不在問題の相談を多く受けている窓口で、実際に問題を解決した実績も豊富なので、信頼できる相談先の1つであることは間違いありません。相談料は無料となっています。
M&A仲介業者のサービスを利用する
M&A仲介サービスを行っている民間企業にサポートしてもらう方法もあります。成功報酬は高額となりますが、スピーディーに買収先を見つけてくれる可能性があるでしょう。
M&A成立後、自社の社員が適切な雇用を継続してもらえるよう、事前に相手方としっかり話し合う必要があります。
M&Aプラットフォームサイトを利用する
M&Aプラットフォームサイトとは、自社を売りたい企業と他社を買いたい企業をマッチングしているWebサイトのこと。比較的低コストで手軽に利用できるため、他の手段と並行して案件を登録している企業も見られます。
運営事業者によりサービスの質にバラつきがあることから、事前に実績やサービス内容をしっかりと確認しておきましょう。
銀行・証券会社に相談する
多くの銀行・証券会社では、M&A案件の相談窓口を設けています。普段から融資等で取引がある金融機関があれば、相談を持ちかけてみても良いでしょう。
自社内にM&A専門の部署を設けている場合もあれば、自社が窓口となってM&A仲介業者等に案件を振り分けている場合もあります。
ほかにも税理士や公認会計士、司法書士、弁護士などでも、事業承継を専門の1つとしている例も見られます。また最近では、従来とは全く異なるタイプの事業承継サービスを提供する一般社団法人日本プロ経営者協会も注目されています。
理想の後継者を求める経営者のためのプラットフォーム
ご紹介した通り、後継者不在に悩む高知の経営者が相談できる先は、たくさんあります。
ただし、相談できる窓口はたくさんあったとしても、大事な自社を売却するに値する資質・経験のある人物が現れるかどうかは、まったく未知数。新たな経営者に従業員が混乱し、自滅を招いてしまうような経営者を立てるわけにはいきません。
第三者から経営者を探す際、必ず経営者がぶつかるこれらの悩みに対し、安心して事業を継承できる人物を紹介する場として誕生したのが、一般社団法人日本プロ経営者協会。後継者として希望する資質・経験を経営者が細かく挙げ、この条件に合ったプロ経営者が継承に名乗りを上げる、という場です。
2023年3月現在、同協会に所属しているプロ経営者は約1,500名。後継者不在にお悩みの高知の経営者にとって、大きく道が開ける可能性があります。
「後継者がいない」という理由で、黒字廃業を選ぶ中小企業経営者が、全廃業のうち、3割を超えています。
独自の技術や知見が、後継者不足によって失われることは、日本経済の衰退を加速させることに他なりません。
その解決に、コンテンツという形で貢献するために生まれたメディアです。