経営が困難な会社や事業に関して、経営者として廃業を選択することは事業戦略の1つである一方、廃業によってメリットやデメリットが発生することも事実です。このページでは、廃業のメリット・デメリットについて解説しています。
廃業のメリット
経営困難な会社が廃業することで得られるメリットにはどのようなものが考えられるでしょうか。
破産にかかる手続きが不要になる
経営が悪化したまま事業を継続して、結果的に破産手続きを取らなければいけない場合、事務的にも法務的にも多くの負担や手間がかかります。廃業を選択した場合にも、残務処理をはじめとする事務作業は発生するため必ずしも楽であるとは言い切れませんが、破産手続きの申請や作業が不要になるため、廃業した方が負担を軽減できる可能性があるでしょう。
取引先や関係各所への影響が
少なくなる
廃業を決めた際に、あらかじめ取引先やクライアントなどの関係各所へ事情を説明しておけば、周囲へのマイナスの影響を最小限にしながら廃業に向けての準備を進められます。ある日突然企業倒産や破産申請をするよりも、取引先も含めた全体的な不利益を軽減できるでしょう。
また社会人としての責任を全うしつつ廃業を進めることで、改めて別の事業を再開する際にも信頼を得やすくなる可能性があります。
赤字経営のストレスや事業主の
責任から解放される
廃業することで、赤字企業の経営者としてのストレスから解放されます。廃業後は従業員の給料や生活などに関して雇用主としての責任や重圧を抱くことも少なくなるでしょう。事業終了に向けて活動することは時に負担が大きくなるものの、経営が悪化したまま事業を継続するよりも心身共に解放されて楽になれるはずです。
損失の拡大を抑えられる
赤字経営が原因で廃業する場合、速やかに事業を終了することで、さらなる赤字や負債の悪化を回避することが可能です。
廃業のデメリット
得られるメリットがある反面、廃業によって生じるデメリットも少なくありません。ここでは一般的に考えられる廃業のデメリットを紹介します。
従業員の働く場所がなくなる
最も大きいデメリットは、会社がなくなるということです。働いていた従業員にとっては職を失うことであり、場合によっては生活が困窮する恐れがあります。また生活は困窮しないものの、将来的に計画していた様々な予定が狂ってしまって、生活設計を一から見直さなければならない人も出てくる可能性があるでしょう。
当然ながら従業員に納得してもらえないまま廃業を進めてしまうと、社会人としても個人としても恨みを買ってしまったり、場合によっては訴訟を起こされてしまったりする危険性も増大します。
周辺に連鎖倒産のリスクが生じる
自社の都合で廃業を決めた結果、取引先の事業にもマイナス影響が拡大してしまい、結果として関係先の会社や事業所が連鎖倒産してしまう可能性が生じます。
特にいきなり廃業を決定して取引先などに十分な説明や準備時間を与えなかった場合、取引先にとっては想定していた収益が急に消滅してしまって、深刻なキャッシュフローの悪化を招く恐れがあることを理解しておきましょう。
資産の売却にマイナス影響が
生じるリスク
廃業を決めて会社や資産の売却により現金化を目指そうとしても、先に廃業を決定することで資産の売却先が見つけにくくなる場合があります。また想定していたよりも売却価格を低く見積もられるリスクも懸念されるでしょう。
連鎖倒産の危険性が周辺に生じれば、近隣で資産売却に応じてくれる企業が減ることになり、負債を抱えたまま廃業するといった状態になってしまうかも知れません。
取引先の撤退などによる赤字拡大
廃業を決めたことが取引先に察知されてしまった結果、自分が想定していた時期よりも早い段階で契約を打ち切られて、赤字が拡大してしまうといったケースも想定されます。
廃業以外の選択としての事業承継
経営困難な状況や後継者が見つからない場合、経営者として廃業を選択することは当然に考えられます。しかし事業そのものは黒字なのに後継者がいないせいで廃業を検討している場合には、改めて後継者や引き継ぎ先を探して事業承継を目指すという選択肢も魅力的です。
同じく事業を終えるにしても、廃業するのか事業承継を目指すのか。それぞれのメリットやデメリットを理解したうえで考えてみることが大切です。
「後継者がいない」という理由で、黒字廃業を選ぶ中小企業経営者が、全廃業のうち、3割を超えています。
独自の技術や知見が、後継者不足によって失われることは、日本経済の衰退を加速させることに他なりません。
その解決に、コンテンツという形で貢献するために生まれたメディアです。