中小企業オーナー社長の「後継者探し」をサポートする当サイト。
このページでは、未だ事業承継のメインと言われる親子承継や、大学時代・以前の勤務先の後輩など、自分のコミュニティでの事業承継についてまとめています。
親子間での事業承継は38.5%
いまだ高い割合
帝国データバンク2021年11月発表資料によると、親子間での事業承継は、全体の38.5%を占め、まだ第1位。
とはいえ、前年度から1.9%減少、調査開始以来初の30%台になるなど、減少傾向です。
これは、M&Aによる事業承継が増加したこと、時代の流れによって子どもが別の道を選ぶことが増えたこと、少子化による“継がせる子どもがいない”ことなどが影響していると考えられます。
親族内承継の
メリット・デメリット
メリット
- 従業員や取引先が理解しやすい
- 早い段階から準備が進められる
- 引継ぎ後の会社の状況が把握できる
- 親族という安心感がある
事業承継にはさまざまな方法がありますが、親子など親族間で行う場合は、世襲性がある意味当たり前となっている日本では、それほど反発はないはずです。ただし、時間をかけて後継者とする親族を会社で働かせることで、能力や人柄などを知ってもらうことが前提です。
一代で築き上げてきた経営者の皆さんはとくに、自分が会社を育ててきたという思い入れがあるでしょう。
きっと、全くの他人が引き継ぐよりも安心感があり、経営者として引退した後も会社の状況がどうなっているのか把握しやすくなります。
事業承継を進める際には、引き継ぎ作業や手続きなどある程度の期間が必要になります。
その点、親子間の事業承継では早い段階から、会社の営業方針や強み、社風も含めた引き継ぎ準備をスタートすることができます。中長期的な計画が大切だと考えてください。
デメリット
- 引き継ぐ人が経営者向きとは限らない
- 個人保証を外せないことがある
- 相続問題が起きてしまうことがある
親族である=経営者にふさわしいわけではありません。社員として優秀でも経営者に向いていない人や、経営者よりも参謀に向いている人もいます。
一度後継者にすると決めた息子や、後輩の梯子を外すことができない、贔屓目で見てしまう…。自分はそんなことはないと思っていても、知らないうちに視野狭窄に陥ってしまう可能性は否定できません。
金融機関など外部からの信用は現経営者の方にあるため、借り入れなどの個人保証を外せない可能性があります。
親族間承継をする場合は、事業承継に向けた手続きをきっちり済ませておかないと、相続や遺産トラブルになることも。
事業承継では社内や取引先への告知や調整が非常に重要なポイントになります。
親族内承継の場合は、それに加えて親族間で争いが起きないような根回しや調整が必要になるため、場合によってはそこに多くの時間がかかります。
親族内承継の課題
日本政策金融公庫が2020年に全国の中小企業を対象に行なった調査によれば、事業承継の際に問題になりそうなこととして「後継者の経営能力」が32%と最も多く、次いで「相続税・贈与税の問題」「取引先との関係の維持」となっています。
グラフの続きは「借入に対する現経営者の個人補償の解除(11.9%)」「親族間の相続問題(8.7%)」「借入に対する現経営者所有物件の担保の解除(6.0%)」「その他(0.2%)」「とくにない(32.6%)」となり、事業承継を考えている経営者のみなさんにとっても納得の結果となっているのではないでしょうか。
その他の課題も合わせて考えると、事業承継の課題として懸念されることは、技術・ノウハウも含めた後継者のスキルや能力的なことと個人保証、所有物件の担保解除など手続き的な心配に分けることができます。
後継者のスキル不足による
トラブルの懸念とは
自身のコミュニティを活用した事業承継は、何の前触れもなく進められると、前からいる役員や社員との軋轢を生みます。
後継者が「経営者としてふさわしい」と思われないと社内全体の雰囲気やモチベーションにも影響します。それが現経営者が選んだ人材となると、あなたの求心力も下がることは確実です。
これは先ほどの「事業承継の際問題になりそうなこと」でも三番目に挙がっていた「取引先との関係の維持」ができなくなる事態にもつながりかねません。
かつて、大手高級家具販売会社のお家騒動が話題になりましたが、これは親族内承継がうまくいかなかった例の一つと言えるでしょう。
こうした失敗を防ぐためには、経営者としての視点を育成することはもちろん、同業他社での武者修行やまずは社員として働かせるなど関係者の理解を得るための準備期間が必要です。
後輩などの場合は、同業で経験があるなど、適正な人材を選出する必要があります。
【注目】最善の後継者を求める経営者のためのプラットフォームとは
M&Aでは相手先が決まってからでないと後継者がわからない。
事業承継ファンドでは株式譲渡後でないと人材会社から後継者を探せない。
サーチファンドでは若手の経営者としか出会えない。
それでは、オーナーは安心して会社を任せられません。
そこで生まれたのが、「日本プロ経営者協会」です。後継者の経験・資質・学歴などの条件をオーナーが挙げ、オーナーの条件に合う、かつその会社を経営したいプロフェッショナルが手を挙げる。
所属するプロ経営者の数は、2023年3月時点で1,500名。
まさに、中小企業経営者のためのプラットフォームです。
後継者が銀行保証に入る事は無く、ストックオプションなどの魅力的なインセンティブ設計を行うことで、後継者にもメリットがあるため、中小企業では招聘困難なスキルを持った後継者の招聘が可能となります。
親族や後輩など、自身のコミュニティを活用した承継の流れ
周囲の理解を得る
経営者が自身のコミュニティの中から事業承継をしたいと考えていても、後継者候補も含め周囲の理解がなければ前に進めることはできません。
自分の子どもであっても意思疎通なく決めてしまうと、反発され後継者がいなくなってしまうので要注意です。
正式に告知しなくても、例えば子供を入社させて会社のことを学ばせたり実際に業務に就かせることで、後継者になる可能性をそれとなく知らせることができます。
徐々に浸透させて周囲の反応を見たり理解を得ることが大切です。
後継者の教育・育成
後継者として適性があっても、安定した経営を継続するための知識やノウハウを身につけるには時間がかかります。
後継者が決まったら中長期的なスケジュールを組んで事業承継のための教育を行うことが必要です。
様々な部署で業務を担当させることで、仕事そのものだけでなく組織体制や部署間の関係を理解してもらうのが社内教育。
これに加えリーダーシップやマネジメント手法を学ぶための社外教育を受けることで一人前の経営者に育ちます。
株式・財産の分配
後々、相続問題が起きることを防ぐために株式や財産の分配などの手続きをしっかり行っておくことが重要です。
遺言により会社の資産や会社株式を後継者に残すこともできますし、生前贈与をしておき持ち戻計算を免除することも可能です。
また後継者へ会社から報酬として財産を分配したり、議決権制限株式の活用といった対策もあります。
こうした事業承継の手続きに関することは、税理士や会計士 などの専門家に事前に相談しておくことをおすすめします。
個人保証・担保の整理
中小企業の経営者は金融機関から融資を受ける際に、個人連帯保証人になったり自宅を担保に設定していることも少なくありません。
親族内承継では後継者が見つかっても、こうした保証や担保を外せないこともあるので注意が必要です。
どのように整理するかは後継者との話し合いが必要ですし、後継者が債務を引き継ぐ場合は、金融機関の承諾はもちろん、後継者の信用力によっては別途契約を結ばなければいけないケースも出てきます。
贈与税と相続税の対策
親子間で事業承継を進める場合は、事業用資産は相続税や贈与税の対象となります。
生前贈与しても事業が好調だと自社株評価が上がり贈与税が高くなります。その場合は相続時精算課税や事業承継税制など対策が必要です。
事業承継税制は一定の要件を満たすと相続税や贈与税の猶予や免除される制度で事業承継の税負担を軽減できます。
相続問題も含め、時期によって法律や制度の中身が変わりますので、税金対策は専門家と相談しておくと安心です。
長期に渡る準備期間が必要
昭和と違い、「二世」「コネ」などに厳しい今の時代。
だからこそ、親族間の事業承継の場合は社員の理解を得るため、また経営者としての資質を正しく判断するために長い期間が必要です。
自身の後輩等であっても、現在のスキルを測る必要があること、またその人が優秀な経営者や経営幹部として活躍していると、わざわざリスクをおかしてまであなたの会社を継ごうとは中々思えないかもしれません。
親族に継がせないと後継者がいないのか、継がせるべき資質を持った人間が親族なのか。
このどちらなのかを、あなた自身がきちんと見極めることを大切にしてください。
自身のコミュニティを活用した事業承継
自身のコミュニティから後継者を選定する最大のメリットは、その人材の事を長く知っている為、価値観や人間性を知っていることでしょう。どういったリーダーシップを発揮しそうなのか、まずは現場に信頼を得た上で経営に入れる人かなどを想像できるはずです。
デメリットは、コミュニティが広い人は良いのですが、経営者様をみていると、余りそういったコミュニティを持っていない人が多い印象なので、そもそも難しいということがあるかもしれません。
地方のオーナー企業は同世代の同業のオーナーとの付き合いが多いかと思いますが、同世代の同業のオーナーは後継者にならないため、後継者プールとなるコミュニティを持っていないのだと思います。
「後継者がいない」という理由で、黒字廃業を選ぶ中小企業経営者が、全廃業のうち、3割を超えています。
独自の技術や知見が、後継者不足によって失われることは、日本経済の衰退を加速させることに他なりません。
その解決に、コンテンツという形で貢献するために生まれたメディアです。