当サイトでは後継者不在という中小企業が抱える課題を解決するための情報を提供。
このページでは後継者が見つからず黒字廃業が増えている中で誕生した「事業承継・引継ぎ支援センター」の支援内容について紹介しています。
事業承継・引継ぎ支援センターとは
中小企業経営者の高齢化が深刻に
中小企業庁の調査データによると経営者の高齢化が進んでおり、2020年9月時点での年齢のピークが60~70代。
後継者不在率は60代でも5割近く、こうした状況の中で廃業を余儀なくされるケースも多く、黒字にも関わらず廃業する企業のうち、3割が「後継者難」が原因になっています。
このまま続くと日本経済の屋台骨を支える中小企業が減っていくばかりになります。
こうした問題を解決するために国の公的相談窓口として設けられたのが「事業承継・引継ぎ支援センター」です。
これまでも第三者による事業引継ぎを支援する「事業引継ぎ支援センター」、親族内承継を支援する「事業承継ネットワーク」はありました。
事業承継・引継ぎ支援センターは2021年4月にこの2つの機能を統合して作られたもので、親族内への承継はもちろん、第三者への引継ぎも含め中小企業のさまざまな事業承継の相談に対応。全国都道府県に窓口があります。
事業承継・引継ぎ支援センターの4つの主な支援内容
各エリアでの相談先がトップページからわかるようになっています。基本的に、相談は各エリアの商工会議所の場合が多くなっています。
第三者承継支援
後継者不在の中小企業・事業者と第三者承継候補者をマッチングして事業承継をサポートします。
事業承継・引継ぎ支援センターには中小企業診断士や金融機関OB、税理士、公認会計士などの専門家が在籍しており相談内容に応じた支援を行います。
事業引継ぎの第三者にはセンターに登録済の民間M&A仲介業者や金融機関などが含まれます。
会社の譲渡先を探している場合に譲受企業を紹介し、進め方アドバイスや譲渡契約成約までをコーディネートします。
また商工会議所等の創業支援機関と連携し「後継者人材バンク」を活用した第三者事業引継ぎのケースもあります。
この場合も人材のマッチングから成約までを支援する内容になっているので安心です。
成約譲渡企業の約7割が小規模事業者となっており、業種は製造業や卸・小売業、建設工事業、飲食店・宿泊業、その他サービス業まで多岐にわたります。
令和3年度まで累計で81,000件超の相談、6,500件近くの引き継ぎ実績があります。(※)
親族内承継支援による事業承継計画策定など
中小企業・小規模事業者が親族や従業員など内々で後継者は決まっているものの、どのように進めるべきかわからないという場合に、早期からの準備や事業承継計画を策定するなどの支援を行うものです。
事業承継を進めるにあたって問題はないか、引継ぎ後もしっかり事業が続けられるかなど、地域の支援機関や金融機関とも協力して事業承継診断を行ったり、エリアコーディネーターによる課題の整理も実施します。
これらの情報と相談者の希望などを事業承継・引継ぎ支援センターで共有。
各都道府県に在籍する承継コーディネーター、サブマネージャーが今後どのように取り組むべきかをアドバイスを行います。
事業承継計画策定については外部の税理士や中小企業診断士といった専門家とも連携。
こうした支援はすべて無料で受けることができますので、これまで相談したくても費用負担が気になって躊躇していた方も安心です。
後継者人材バンクによる起業家とのマッチング
創業希望者と後継者不在の事業者を仲介する仕組みです。
後継者人材バンクには後継者不在で困っている中小企業・小規模事業者だけでなく事業意欲・経営意欲が旺盛な創業希望者も登録されています。
後継者不在の事業者にとっては、廃業することなく事業を存続でき、従業員や取引先も会社を失うことがなくなります。
経営トップから退いたとしても、やる気のある起業家にこれまでのノウハウや思いを伝えることが可能です。
とはいえ、「創業希望者」とのマッチングになるので、スキルや経験などに大きな期待はできません。どちらかというと、創業希望者にメリットが多いマッチングといえます。
経営者保証に関する支援
事業承継時には経営者が交代しても借り入れなどがある場合は、個人保証が残ってしまう問題があります。
これを解決するために事業承継・引継ぎ支援センターが間に入り、経営者保証解除に向けた支援を行うものです。
経営者・後継者の双方から二重には保証を求めないことを原則とした「経営者保証に関するガイドライン」の特則を適用。
経営者保証コーディネーターが経営者保証解除に向け、中小企業と金融機関との調整をサポートします。
経営者保証コーディネーターは法人と経営者との関係の明確な区分や財務基盤の強化、財務状況の把握、情報開示などをチェック。経営者保証に関するガイドラインの充足状況を確認します。
金融機関と経営者保証の解除の目線合わせにおいては派遣専門家が事業者の立場から支援。
経営者保証コーディネーターの確認が済むと、信用保証制度の保証料の軽減を受けることが可能になり、経営者保証解除につなげるという支援内容です。
支援内容を確認すると、どちらかというと小規模事業者向けの内容だというのがわかります。
M&Aにおいても、登録された事業承継・引継ぎ支援センターに登録された民間M&A仲介業者・金融機関のみしか繋げないため、M&Aを実行する際のセカンドオピニオンとして使うくらいが良いかもしれません。
無料ということもあり、専門性や精度よりも、相談のハードルの低さ・気軽さを求めるものだと思っていただければ良いかもしれません。
事業承継・引継ぎ支援センターは小規模向けなら、それ以上の規模の企業はどこで後継者を探すのが良いのか。
当メディアではM&Aや金融機関、証券会社、ファンドなどさまざまな方法を紹介していますが、そのほかに新たな選択肢が増えているのをご存じでしょうか。
それが、「日本プロ経営者協会」です。所属するプロ経営者の数は、2023年3月時点で1,500名。
後継者の経験・資質・学歴などの条件をオーナーが挙げ、オーナーの条件に合う、かつその会社を経営したいプロフェッショナルが手を挙げる。
後継者が銀行保証に入る事は無く、ストックオプションなどの魅力的なインセンティブ設計を行うことで、後継者にもメリットがあるため、中小企業では招聘困難なスキルを持った後継者の招聘が可能となります。
このように、中小企業経営者が後継者を探すためのプラットフォームは、知らないだけで色々存在しますので、ぜひ当メディアで情報収集をしていただければと思います。
「後継者がいない」という理由で、黒字廃業を選ぶ中小企業経営者が、全廃業のうち、3割を超えています。
独自の技術や知見が、後継者不足によって失われることは、日本経済の衰退を加速させることに他なりません。
その解決に、コンテンツという形で貢献するために生まれたメディアです。