東京の会社売却・事業承継の現状
日本経済の中心である東京。国際都市としても有名です。東京都産業労働局のデータでは、東京都にある事業所数は約62万、就業者数は約800万人となっています。事業所数は全国の11.6%、就業者数は13.6%を占めていました。
総生産の内訳は、卸売・小売業が21.97%で、全国の12.67%より高い割合です。また、情報通信業では、全国4.9%に対して東京は11.09%です。一方、製造業が占める割合は、全国20.5%に対して7.14%と低い数字となっています。都内では、第三次産業が盛んであると言えるでしょう。
生産指数や第3次産業活動指数は2020年から大幅に回復。中小企業の業況DIは2020年10月時点でコロナ以前の-32を上回り、-30まで回復しました。
順調に見える東京の事業ですが、企業の倒産・休廃業・解散数は増加しています。2025年2月の倒産件数は125件。3ヶ月連続で前年同月を上回っています。休廃業・解散件数は11,786件で、休廃業・解散率は5.99%でした。2020年から2022年にかけて、全国の休廃業・解散数は4.74%減少しています。東京は2.7%の減少にとどまっており、休廃業に至る事業所が多いことが分かります。コロナ禍での資金供給が減少し、休廃業に至るケースが多いとみられています。
東京都の中小企業は、全体の98.8%を占めています。原材料が高騰する中、価格への転嫁が上手くいかない状況で、増収企業の割合は減少傾向です。しかし、設備投資は増えており、今後の景気拡大に期待が寄せられています。
東京の会社売却・事業承継の動向
東京では、企業が多いこともあり、M&Aも活発です。2021年のM&A件数は682件でした。2位の大阪125件と5倍以上の差があります。
東京都の後継者不在率は、57.7%です。全国平均は57.2%のため、ほぼ全国並みと言えます。後継者不在率が全国と変わらないことに対して、休廃業・解散率は高いため、事業承継の必要性が極めて高い状況にあると言えるでしょう。
東京のM&A事例はたくさんあります。たとえば、2022年8月には、朝日放送グループホールディングスがアニメ事業強化を目的として、アニメキャラクター雑貨企業・製造を手掛けるゼロジーアクトの全株式を取得しました。また、9月にはニーズウェルのよるビー・オー・スタジオのM&A、10月は鉱研工業によるクリステンセン・マイカイのM&Aなどが実行されています。
商工会・商工会議所による支援の実態とは?
労働集約的に仕事をする仲介会社は最低フィーが会社によって異なりますが、1000万円~2500万円程あるので、 株価が1億円(営業利益2千万円で現預金-借入=0位の会社)等の企業は条件が合わず、仲介会社は仲介をしてくれないので、基本的に商工会等に頼むほか無くなってしまいます。
引継ぎ支援センターの実態とは?
商工会、商工会議所の役割に似ています。実際に上記にお願いすべき社長さんの特徴、企業の特徴、お悩みなど、自身が引退して、節税を一切しない時の営業利益が3000万円程度よりも下ですと仲介会社が動いてくれない可能性が高いです。
そういった会社は消去法的に引継ぎ支援センターに相談する形になります。ただ、その場合社員にはほぼインセンティブが無い為、あまり気合を入れてやってはくれないと思っていた方が良いかもしれません。 役所的な仕事の仕方になってしまう可能性があります。
活用しないと損!事業承継税制の特例措置と、助成金・補助金
事業承継にはコストがかかるもの。ここでは、東京で事業継承に悩んでいる方に向けて、かかるコストを削減するための税措置や助成金について紹介します。
事業承継税制の特例措置
事業承継において最大の壁となるのが「相続税」や「贈与税」の負担です。これを軽減するために、「事業承継税制の特例措置」が設けられています。
- 適用条件: 非上場株式等の贈与・相続が対象。事業承継計画を2026年3月31日までに提出する必要があります。
- 納税猶予・免除の範囲: 贈与税:全額納税猶予、相続税:80%の納税猶予。
- その他の要件: 雇用確保要件として、事業承継後5年間で平均8割以上の雇用を維持する必要があります。
事業承継税制を活用することで、税負担を大幅に軽減し、後継者へのスムーズな引き継ぎが可能となります。
東京都における事業承継支援の助成金・補助金制度と相談窓口
東京都では、中小企業の経営者高齢化や後継者不足などの課題に対応するため、事業承継を円滑に進めるための助成金・補助金制度が充実しています。企業の存続・発展と地域経済の活性化を目的とした各種支援策により、計画の策定や専門家の活用、後継者育成など多岐にわたるサポートが提供されています。
主な助成金・補助金制度の内容
事業承継促進補助金
- 目的:
事業承継計画の策定、後継者の育成、専門家(コンサルタント、会計士、弁護士など)への依頼にかかる費用の一部を助成します。 - 特徴:
補助対象経費や補助率(例:1/2~2/3程度)、上限額は年度ごとに公募要項で定められ、計画的な事業承継をサポートします。
中小企業支援連携型の補助制度
- 内容:
東京都事業承継・引継ぎ支援センターや商工会議所と連携し、事業承継に関する相談、アドバイス、セミナーや研修の開催を通じた支援を実施。必要な経費の一部が助成される場合もあります。
その他の関連制度
- 補足:
経営革新や事業再生を支援する補助金・助成金も事業承継を包括的に支援する目的で実施されているため、状況に応じた活用が可能です。
助成対象および申請条件
- 対象企業:
東京都内に本社を置く中小企業が中心となり、経営者交代や事業承継計画の策定を行う企業が対象となります。 - 補助対象経費:
- 事業承継計画書の作成費用
- 専門家(コンサルタント、会計士、弁護士など)への依頼費用
- 後継者育成や研修にかかる費用
事業承継に関する相談窓口
事業承継の不安や計画策定に関しては、以下の主要な相談窓口が支援を行っています。各窓口では、個別の状況に応じたアドバイスや情報提供が受けられます。
東京都事業承継・引継ぎ支援センター
- 住所:
〒100-0005 東京都千代田区丸の内3-2-2 丸の内二重橋ビル6階 - 電話番号:
03-3283-7555 - 東京都内の中小企業向けに、事業承継計画の策定や専門家の紹介など幅広い支援を行っています。
※上記の窓口は一例です。地域ごとに設置されている拠点やその他の支援機関もありますので、ご自身の事業内容や所在地に応じた最適な窓口を、東京都の公式ウェブサイトや各団体のページでご確認いただくことをおすすめします。
東京の会社売却・事業承継先を探す手段
専門家へ相談する
東京で会社売却・事業承継先を探す手段のひとつが、M&A仲介会社への相談です。M&Aは、複雑な法務的な手続きや税務処理が必要です。はじめての事業承継であれば、分からないことだらけになるでしょう。相手の選定も含め、専門知識が必要となります。幅広い領域の専門知識を持つアドバイザーが中立的な立場で、売り手企業と買い手企業の間にたってくれるのがM&A仲介会社のサービスです。売り手側にも買い手側にも立たず、間に入ってくれるため、一方的に悪条件を押し付けられる心配はありません。専門家に相談することでスムーズな事業承継が実現します。M&A仲介会社によって、得意な事業規模や事業分野があるため、自社に合った会社を見つけることが大切です。
公的機関や金融機関へ相談する
M&A仲介会社の他に、公的機関や金融機関でも事業承継の相談に対応しています。
「東京都事業承継・引継ぎ支援センター」は、東京商工会議所が経済産業省関東経済産業局から委託を受けて運営している国の機関です。「産業競争力強化法」に基づいた事業です。M&Aの相談や従業員承継のアドバイス、M&A支援会社の紹介など、事業承継全般の相談に対応しています。相談料は無料です。
「東京都よろず支援拠点」は、中小企業・小規模事業者、NPO法人・一般社団法人・社会福祉法人の相談に対応している機関です。売上拡大や事業承継など、経営相談全般を受け付けています。2023年1月時点で23名のコーディネーターが在籍。各分野に詳しいコーディネーターからアドバイスしてもらえます。
「東京商工会議所」は、東京23区内の会員で構成される総合経済団体です。幅広い経済支援メニューを提供。事業承継はもちろん、資金調達、取引の拡大、自社PR、人材育成、海外取引など23支部を通じて相談可能です。
「東京信用保証協会」は、中小企業・小規模事業者が金融機関から融資を受ける際に公的な保証人になる機関です。常時使用する従業員数または資本金の条件を満たす中小企業が利用できます。長期融資や根保証の利用、融資枠の拡大など、さまざまな相談に対応しています。
以上でご紹介した相談先のほかにも、弁護士や公認会計士、税理士、司法書士などが事業承継の相談に応じていることもあります。ただし士業の場合、必ずしも事業承継が得意分野とは限らないので、相談する場合には過去の実績を確認してみることが大切です。
また近年では、従来とは異なるタイプの事業承継支援を行う一般社団法人日本プロ経営者協会も注目されています。相談先の1つとして念頭に置いておきましょう。
理想の後継者を求める経営者のためのプラットフォーム
後継者不在問題に直面している岐阜の経営者には、ご紹介した通り、たくさんの相談窓口があります。一人で問題を抱えず、まずは外部に相談するなどの積極的なアクションを取っていきましょう。
ただし、いずれかの窓口から事業承継の候補者が見つかったとしても、その候補者が自社の理念や方針、文化をよく理解できるかどうかは分かりません。もとより、自社を成長させるスキルや経験があるかどうかも未知数です。適任と信じて招いた後継者が、逆に事業や従業員の混乱を招いてしまう事態は避けたいものです。
そのような事態に陥るリスクを抑えるため、よりふさわしい後継者とのマッチングの場を提供しているのが一般社団法人日本プロ経営者協会。後継者として求める条件を詳細に提示し、それらの条件に適したプロ経営者が手を挙げる事業承継のプラットフォームです。
2023年現在、同協会に所属しているプロ経営者は約1,500名。後継者不在というピンチをチャンスに変える場として、全国多くの現役経営者から注目を集めています。
理想の後継者を求める経営者のためのプラットフォーム

https://owners.proceo.jp/
後継者を探すにはM&Aや事業承継ファンド、サーチファンドといった手段があります。しかし、それぞれにデメリットがあり、納得できる後継者選びができません。M&Aは相手先が決まるまで誰が後継者になるか分からない、事業承継ファンドは株式譲渡後にしか後継者を探せない、サーチファンドは若手の経営者としか出会えない。これでは、事業にマッチする経営者を探しは困難です。
そんな不安な後継者探しを改善すべく後継者探しプラットフォームを提供しているのが「日本プロ経営者協会」です。オーナーが後継者の経験・資質・学歴といった条件を提示できる点が画期的。オーナーの条件に合って会社の経営をしたい経営者が手を挙げてくれます。条件に合致する経営者であれば、安心して事業を引き渡せるでしょう。事業に合う後継者を探しやすいプラットフォームです。

「後継者がいない」という理由で、黒字廃業を選ぶ中小企業経営者が、全廃業のうち、3割を超えています。
独自の技術や知見が、後継者不足によって失われることは、日本経済の衰退を加速させることに他なりません。
その解決に、コンテンツという形で貢献するために生まれたメディアです。