福岡の会社売却・事業承継の現状
経済産業省の九州経済産業局によると、九州地方の経済規模は全国シェアの10%、事業所数は約60万とされています。
2020年に福岡県で行われたM&Aの代表的な事例は、九州電力グループのキューデン・インターナショナル(福岡県)と西日本技術開発(福岡県)による、サーモケム(アメリカ)の買収です。サーモケムは、地熱技術サービスを提供する会社です。
福岡県の人口は、約510万人で、そのうち15歳~64歳の割合は約56%。国内外の交通の要所となっており、福岡空港や北九州空港があります。博多港をはじめ港も複数あり、特に韓国の釜山とは定期航路もあります。
教育機関も充実しており、大学が多いことから、九州他県や中国・四国地方などからの学生の流入も多いです。九州全体では人口減少の傾向がありますが、福岡県は顕著な人口減はなく、特に福岡市では人口は増加傾向があります。
福岡県の県内総生産は19,1兆円。全国の3.6%です。第三次産業の割合が78%となっています。九州全域への卸売業が多く、年間販売額は全国4位。九州地方の58%を占めています。
福岡県の事業所数は20.5万。全国では7位です。事業所数での産業分類では、卸売業・小売業が25.7%、宿泊業・飲食サービス業が11%となっています。
福岡県内の中小企業では、後継者未定・事業承継未着手の企業が約7割を占めています。県では、事業承継の円滑化の促進に取り組んでおり、事業承継支援ネットワークを構築。補助金も用意されているため、M&A件数は今後増加していくと考えられています。(参照:)
福岡の会社売却・事業承継の動向
福岡県は、M&Aが活発な地域で、2020年の福岡県のM&A件数は112件、全国5位でした。買い手・売り手の福岡県企業の内訳は以下の通りです。
- 買い手・売り手のどちらも福岡県内企業:18件
- 買い手のみ福岡県内企業:42件
- 売り手のみ福岡県内企業:52件
後継者不在率を業種別でみると、サービス業の約67%、建設業約67%、不動産業約66%です。後継者不在に悩む3大業種と言えるでしょう。特に、新型コロナウイルスの影響が強かった飲食店や宿泊施設では、後継者不在率が高い傾向があります。
福岡県のM&A事例のひとつに、販売管理パッケージシステム会社の譲渡があります。自社開発の販売管理システムをカスタマイズ・販売して、システムの保守やコンサルティング業務で収益を上げている会社です。公開されている譲渡価格は1,000万~5,000万でした。
福岡県における事業承継支援制度と補助金
福岡県は、地域経済の持続的発展を目指し、中小企業が抱える事業承継問題に対して多角的な支援制度を提供しています。ここでは、主な補助金制度と税制・金融支援策について詳述します。
福岡県事業承継実現補助金
福岡県では、事業承継を促進するために「福岡県事業承継実現補助金」を交付しています。この補助金は、大きく分けて次の2つのカテゴリーで運用されています。
- 経営改善事業補助金
事業承継計画の策定を支援するもので、販路拡大、デジタル化、新商品の開発、さらには後継者育成など、企業価値向上に資する具体的な経営改善策に対して必要な経費を補助します。中小企業が将来の承継に向けて、計画的かつ実践的な取り組みを行えるよう支援する点が特徴です。 - M&A事業補助金
事業譲渡(M&A)を希望する企業に対して、M&A仲介業者を通じた取引成立に伴う仲介手数料を補助します。特に、第三者承継を希望する場合に、迅速かつ円滑な事業譲渡を実現するための金融面の支援が強調されています。
経営承継円滑化法に基づく税制・金融支援策
さらに、経営承継円滑化法により、非上場株式に係る相続税や贈与税の納税猶予措置、金融機関による融資支援、そして経営者保証解除支援など、税制・金融面での多岐にわたる支援策が講じられています。これにより、事業承継に伴う資金繰りの不安や税負担の軽減が図られ、企業がスムーズに承継プロセスを進めることが可能となっています。
補助金申請のプロセスと利用要件
利用企業は、まず事業承継計画を策定し、各支援機関(例:福岡県事業承継・引継ぎ支援センターなど)による事前相談を経た上で、必要書類を整え申請を行います。審査基準としては、企業の経営状況、将来性、計画の具体性が重視され、交付後のフォローアップとして実績報告が求められるなど、透明性の高いプロセスが採用されています。また、最新の交付実績や採択件数といった統計データも公表され、利用企業にとって信頼性の高い情報源となっています。
商工会・商工会議所による支援の実態とは?
労働集約的に仕事をする仲介会社は最低フィーが会社によって異なりますが、1000万円~2500万円程あるので、 株価が1億円(営業利益2千万円で現預金-借入=0位の会社)等の企業は条件が合わず、仲介会社は仲介をしてくれないので、基本的に商工会等に頼むほか無くなってしまいます。
引継ぎ支援センターの実態とは?
商工会、商工会議所の役割に似ています。実際に上記にお願いすべき社長さんの特徴、企業の特徴、お悩みなど、自身が引退して、節税を一切しない時の営業利益が3000万円程度よりも下ですと仲介会社が動いてくれない可能性が高いです。
そういった会社は消去法的に引継ぎ支援センターに相談する形になります。ただ、その場合社員にはほぼインセンティブが無い為、あまり気合を入れてやってはくれないと思っていた方が良いかもしれません。 役所的な仕事の仕方になってしまう可能性があります。
福岡の会社売却・事業承継先を探す手段
専門家へ相談する
会社売却・事業承継先を探す方法のひとつは、M&A仲介会社などの専門家へ相談する方法です。M&Aアドバイザーが売り手企業と買い手企業の間に立って、中立的な立場で成立をサポートしてくれるのがM&A仲介会社です。
M&Aを行う際は、法務手続きや税務処理、相手企業の選定など、必要な知識が少なくありません。こうした知識がないままM&Aを行っても、不本意な結果を招くでしょう。数多くのM&A事例を見てきている専門のアドバイザーなら、売り手・買い手ともに満足できるM&Aを実現できます。専門家に相談すると積極的な買い手が見つかり、事業承継の悩み解決は早いです。
公的機関や金融機関に相談する
M&Aの専門業者以外にも、公的機関や金融機関に相談することもできます。
福岡県よろず支援拠点
「福岡県よろず支援拠点」は、中小企業庁の事業として国から委託されて運営している機関です。在籍しているコンサルタントは59名。売上拡大や経営改ざん、事業承継などの経営課題全般についてサポート会社しています。
- 所在地:福岡市博多区吉塚本町9-15(福岡県中小企業振興センタービル6F)
- 電話番号:092-622-7809
- 受付時間:9:30~16:30(不定期で21:45までの夜間相談会も開催)
福岡県事業承継・引継ぎ支援センター
「福岡県事業承継・引継ぎ支援センター」は、事業承継を専門的にサポートしているセンターです。親族内承継・社員承継・第三者承継に関わらず、事業承継をサポートしてくれます。無料相談会や無料セミナーも開催されているので、一度相談してみると、課題の整理にも役立つでしょう。
- 所在地:福岡市博多区博多駅前2-9-28(福岡商工会議所ビル8階)
- 電話番号:092-441-6922
- 受付時間:9:00~17:00
金融機関なら、福岡に根ざした金融機関である福岡銀行が事業承継のサポートをしてくれます。地域の金融機関として蓄積した情報を活かし、M&Aアドバイザリーサービスを提供。専門知識豊富なスタッフが相談に対応しています。スキームの検討から買収後の助言まで、トータルサポートしている点も強みです。
公的機関として中小企業・小規模事業者を支援している「福岡県中小企業活性化協議会」も事業承継の相談を無料で受け付けています。経営課題全般に関する相談が可能です。
また、「福岡商工会議所」は、担当者がヒアリングを行った上で、「福岡県事業承継引継ぎセンター」や「福岡県事業承継支援ネットワーク」の専門家に引き継ぎできます。
以上でご紹介した相談先のほかにも、弁護士や公認会計士、税理士、司法書士などが事業承継の相談に応じていることもあります。ただし士業の場合、必ずしも事業承継が得意分野とは限らないので、相談する場合には過去の実績を確認してみることが大切です。
また近年では、従来とは異なるタイプの事業承継支援を行う一般社団法人日本プロ経営者協会も注目されています。相談先の1つとして念頭に置いておきましょう。
理想の後継者を求める経営者のためのプラットフォーム

https://owners.proceo.jp/
M&Aのデメリットは、相手先が決まらないと後継者が分からないことです。事業承継ファンドを利用すると株式譲渡後にしか後継者を探せません。そしてサーチファンドでは若手の経営者との出会いに限られてしまいます。安心して事業承継するには、これらの既存のシステムでは無理があると言えるでしょう。
そんな課題を解決するために誕生したのが「日本プロ経営者協会」です。オーナーが後継者について経験や資質などの条件を提示できることが特徴です。オーナーの条件に合う上で、その会社の経営に積極的な経営者が手を上げてくれます。自分が育ててきた事業のカラーに合った後継者を探しやすいプラットフォームです。
後継者が銀行保証に入ることはありません。ストックオプションなど魅力的なインセンティブ設計もできるため、中小企業では招聘困難な後継者と出会えます。

「後継者がいない」という理由で、黒字廃業を選ぶ中小企業経営者が、全廃業のうち、3割を超えています。
独自の技術や知見が、後継者不足によって失われることは、日本経済の衰退を加速させることに他なりません。
その解決に、コンテンツという形で貢献するために生まれたメディアです。