大分の会社売却・事業承継の現状
2020年に行われた帝国データバンクの調査によると、大分県内にある企業のうち後継者不在問題を抱える企業の比率は、全体の66.9%。2019年の調査では68.8%だったので数値としてはやや改善していますが、実際にはほぼ横這いの状況です。ちなみに後継者不在率の全国平均は65.1%(2020年)。大分とほぼ同じ程度の比率になります。
業種別で見ると、建設業とサービス業における後継者不在率が69.7%でトップ。次いで、不動産業(69.1%)、卸売業(66.5%)、小売業(66.1%)と続きます。
経営者の年齢別で見ると、事業承継の検討期に入るとされる50代の経営者において、約7割で後継者に関する悩みを抱えているとのこと。60代経営者では5割、80代以上の経営者では4割弱という結果になっています。
過去のデータに比べると、大分の事業承継事情にはやや改善傾向が見られます。ただし、それはあくまでもデータ上のことであり、大分の企業全体のうち7割弱は後継者不在問題を抱えているという深刻な現実があります。
大分の会社売却・事業承継の動向
帝国データバンクは、2018年以降の事業承継が判明した県内の企業263社について、先代経営者との関係を調査しています。2020年の調査データは次のような結果でした。
- 同族承認…43.1%
- 内部昇格…27.5%
- その他…19.6%
- 外部招聘…7.8%
- 創業者…2.0%
事業を承継した新経営者のうち、もっとも高い比率を示したのが同族承認(43.1%)。一方、外部から経営者を招聘した比率はやや低めの7.8%。外部招聘率の全国平均(8.3%)と大きな差異はないようです。
なお、同族承認として事業承継した案件で最も多かった承継者の属性は「子供」。同族承認のうち約58.8%は子供への事業承継となっています。
商工会・商工会議所による支援の実態
M&A仲介会社は全国をターゲットにしているので「地方だから都心と大きく変わる」という事はありませんが、地方は地方銀行や信金が一部の事業承継を担っています。
また、地方になれば国税等に勤めていた重鎮の税理士が居る税理士事務所が強い力を持っています。ただ、買手ネットワークは少ないため、 オーナーから頼まれた大きな案件ですとM&A仲介会社に紹介して紹介フィーを得ているのが実情です。
仲介会社が扱えない小規模の案件であれば、税理士事務所の職員がネットのバトンズ等に掲載する等して探す、又は諸侯会議所や事業引継センターに紹介されています。 ただ、「なかなか決まらない」「後継者が現れる事もほぼない」という声が多々あります。
各エリアの引継ぎ支援センターの実態
地方の引継センターの実態は詳細は分からないものの、「小規模案件を取り扱う」という意味ではそれなりの役割を果たしていると思われます。
実際に商工会や引継ぎ支援センターへお願いすべき社長は?
小規模な企業の社長におすすめです。フィーが無料だから良い訳ではないので少し規模があれば、よりインセンティブを持つ仲介会社、営業利益が10億円を超える等の会社は より大手のM&Aアドバイザーを選ぶ等を検討するのが一般的にはおすすめです。
大分の会社売却・事業承継先を探す手段
後継者不在問題を抱えている大分県内の経営者に向け、会社売却先や事業承継先を探す主な手段をご紹介しましょう。
親族を後継者にする
「すでに子供は別の仕事に従事して世帯を持っている」「子供に自分と同じ苦労をさせたくない」などの親心から、子供・親族への事業承継を考えていない経営者もいます。
ただし、事業承継は経営者本人だけではなく、承継される側の意思も尊重されるべきもの。事業承継をするつもりがあるかどうか、腹を割って話してみることも必要です。
社員を後継者にする
自社の優秀な社員を後継者にする選択肢もあるでしょう。
ただし、社員に事業承継をする際には、株式を譲渡される対価を当該社員が用意しなければなりません。数億円規模になることも珍しくありませんが、果たして当該社員に相応の資力があるかどうかが問題となります。
事業承継・引継ぎセンターを利用する
中小機構や自治体が運営している事業承継・引継ぎセンターでは、後継者不在のお悩みを抱える経営者の相談に応じています。実際に後継者を仲介した実績も豊富なので、頼れる相談先の1つとなるでしょう。
M&A仲介業者のサービスを利用する
民間のM&A仲介業者に相談し、事業を承継してくれる相手(買収相手)を探してもらう方法もあります。専門会社としての実力は十分に期待できますが、成功報酬が高額になる点理解しておく必要があるでしょう。
業者によりサービスの内容や質にバラつきがあるため、事前に業者のサービスをリサーチしておきましょう。
M&Aプラットフォームサイトを利用する
M&Aプラットフォームサイトとは、M&A案件における「売りたい」「買いたい」をマッチングするWebサービスのこと。案件の登録は簡単で、比較的低コストで利用できることから、将来の事業承継に備えて早めに案件を公開している経営者もいるようです。
運営事業者の実績や成功報酬など、事前にしっかりと確認しておきましょう。
銀行・証券会社に相談する
銀行・証券会社の中にはM&A相談の専用窓口を用意しているところもあります。普段からお付き合いのある銀行などに赴き、事業承継の相談をしてみても良いでしょう。
ご紹介した窓口以外にも、事業承継案件を得意とする公認会計士や税理士、弁護士、司法書士などがいます。実績が十分ならば、相談してみる価値はあるでしょう。
また近年では、既存の窓口とは異なる事業承継サービスを展開する一般社団法人日本プロ経営者協会も注目されています。1つの選択肢としてチェックしておきましょう。
理想の後継者を求める経営者のためのプラットフォーム
後継者不在問題を抱える大分の経営者には、ご紹介した通り、多くの相談窓口が用意されています。
ただし、いずれかの窓口から事業承継の候補者が紹介されたとしても、その候補者が自社の事業に深い理解と共感を持てるかどうかは分かりません。そもそも、自社の経営にふさわしい資質や経験が十分かどうかも定かではありません。せっかく招いた承継者の経営により、従業員に混乱をきたすような事態があってはならないでしょう。
経営者の本意ではないこのような事態を避けるため、各社にふさわしい後継者をマッチングさせる場として設立されたプラットフォームが一般社団法人日本プロ経営者協会。現・経営者が後継者に求める条件を細かく提示し、これらの条件に該当するプロの経営者が名乗りを上げる、という事業承継のための場です。
2023年現在、同協会に所属するプロ経営者は約1,500名。後継者不在という会社のピンチが、同協会を通じて大きな飛躍のチャンスになるかもしれません。
「後継者がいない」という理由で、黒字廃業を選ぶ中小企業経営者が、全廃業のうち、3割を超えています。
独自の技術や知見が、後継者不足によって失われることは、日本経済の衰退を加速させることに他なりません。
その解決に、コンテンツという形で貢献するために生まれたメディアです。