当サイトでは事業承継に悩む中小企業の問題解決に役立つ情報を提供しています。
このページでは後継者不在のまま黒字廃業する中小企業が増えている状況と、どうすれば廃業が避けられるのかについてまとめています。
後継者不在の統計データ
全国的な後継者不在率
帝国データバンクによる「全国『後継者不在率』動向調査(2024年)」によると、日本の中小企業の約52.1%が後継者不在の状態にあります。この数字は過去数年間で改善傾向にあるものの、依然として多くの企業にとって重要な課題となっています。
https://www.tdb.co.jp/report/economic/succession2024/?utm_source=chatgpt.com
経営者の高齢化
中小企業庁の「2021年版中小企業白書」によれば、経営者の平均年齢は60歳を超えており、高齢化が顕著です。60歳以上の経営者の割合が増加している一方で、若年層の後継者育成が追いついていない現状があります。
https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/2021/chusho/b2_3_1.html?utm_source=chatgpt.com
廃業のうち6割が黒字、そのうち約3割の原因が後継者難

中小企業庁の資料によると、休廃業・解散の件数が年々増加しており、その中の6割が黒字にも関わらず廃業を選択していることがわかります。
またそのうちの約3割が後継者が見つからないことを理由としています。
子どもがいなかったり、子どもに継ぐ意思がないケースが増えていることが後継者難につながっていると考えられますが、その一方で、近年はM&Aも含め親族外承継が増加傾向にあることも注目できます。

「令和3年度(2021年度)の中小企業の動向」の中小企業のM&A実施状況を見ると右肩上がりに増加していることがわかります。
後継者不在という共通の悩みを抱えつつも、そこには廃業ではなく事業を継続したい中小企業の意思が表れています。
https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/2022/PDF/chusho/03Hakusyo_part1_chap1_web.pdf
後継者不在が企業に与える影響
後継者がいないことは、企業の存続に深刻な影響を与えます。以下に主な影響を具体的に示します。
経営の不安定化
後継者が不在の企業では、経営者の退任後の展望が不透明となり、従業員や取引先の間に不安が広がります。この不安感は、従業員の離職や新たな人材採用の困難さにつながる可能性があります。また、取引先からの信用低下により、ビジネス機会を失うリスクも増大します。
資金調達の困難
後継者がいない企業は、金融機関からの信頼が低下しがちです。特に長期的な融資において、経営の継続性が疑問視されるため、新たな資金調達が難しくなる可能性があります。
技術・ノウハウの喪失
中小企業においては、長年培ってきた独自の技術やノウハウが企業の競争力の源泉となっています。しかし、これらが後継者に適切に引き継がれない場合、企業の成長が停滞するリスクが高まります。
地域経済への影響
特に地方において中小企業は地域経済の基盤を担っています。これらの企業が廃業に追い込まれると、地域全体の雇用機会が失われ、経済活動の停滞を招く可能性があります。
従業員の流出
将来の不安から優秀な人材が他社へ流出する可能性が高まり、人材確保が困難になることがあります。
脱ファミリー化が進む近年の後継者承継の内訳
近年、従来の同族承継(親族内承継)から、内部昇格による後継者登用や外部招聘(第三者承継)へのシフトが顕著になっています。帝国データバンクや各種政府調査のデータによれば、以下のような傾向が見られます。
- 同族承継:従来は全体の約40%前後を占めていたが、近年は30~33%程度に低下。親族内での引き継ぎは信頼関係の維持というメリットがある一方で、家族間の価値観の変化や相続税の負担などが影響しています。
- 内部昇格:役員や従業員を後継者として登用する方式は、30~35%程度とされ、これまでの同族承継を上回る割合になるケースも増えています。これは、企業内に蓄積されたノウハウや技術、さらには経営に関する実践的な経験が評価されるためです。
- 外部招聘:親族外の第三者を後継者として迎えるケースは10~20%前後となっており、脱ファミリー化が進む中で、専門性や豊富な経営経験を有する人材の採用が進んでいます。
後継者選定のポイント
適切な後継者を選ぶには、以下のポイントを考慮する必要があります。
- 経営能力とリーダーシップ:企業を効果的に導き、ビジョンを共有する能力が重要です。
- 財務的知識:財務状況を把握し、適切な戦略を立案できる人材が望ましいです。
- 柔軟性と適応力:市場の変化に対応し、新たなビジネスチャンスを活かせる能力が求められます。
黒字廃業を防ぐために
事業承継の準備は早めに
一般的に事業承継が行われるまで5年〜10年くらいの期間が必要と言われています。
後継者が決まっていても、関係各所との調整や専門家との相談など準備に手間と時間が必要になりますのでできるだけ早めに準備しておくことが重要です。
後継者が見つからないまま対策しないと、気がついたときには間に合わないということもあります。
第一線から退くのはまだ先だとしても60歳を過ぎた頃から事業承継の準備に取り掛かるくらいの心構えが必要です。
M&Aによる事業承継も検討
事業承継は親族承継以外にも、従業員・役員を後継者にしたりM&Aなど第三者承継という方法もあります。
M&Aについては仲介業者やマッチングサイトなど相手先企業を探す環境が整っていますので早くから準備が可能です。
まずは自社の状況をよくわかっている公認会計士や弁護士など専門家に自社にとってどういった方法が最適なのかを相談する。
後継者探しが難しそうな場合はM&Aによる事業承継というのも選択肢として検討しておくことが必要です。
事業引継ぎ支援センターを活用
事業承継を検討する場合は、専門家やM&A仲介会社以外に事業引継ぎ支援センターを活用する方法もあります。
これは国の公的相談窓口として中小企業庁が設けたもので、地域の商工会議所が委託を受け活動しています。
このセンターは事業承継計画策定から親族内承継支援、第三者承継支援など後継者不在でどうしたらよいかわからない中小企業を無料でサポートしています。
後継者人材バンクによるマッチングも行っていますので早めに相談しておくと安心です。
政府・自治体の支援策を使ってみよう
中小企業の後継者不足に対する対策として、政府や地方自治体は多岐にわたる支援制度を提供しています。主な制度としては以下のものが挙げられます。
事業承継税制
- 法人版および個人版が存在し、後継者が取得した資産に対する相続税や贈与税の納税猶予措置が適用される。
- 令和6年度税制改正により、計画提出期限が延長されるなど、利用者の負担軽減が図られています。
事業承継補助金
- 中小企業庁や各自治体が実施する補助金制度で、事業承継に必要な設備投資や販路開拓、経営改善に対する補助金が支給される。
- 具体的な交付件数や交付額は地域ごとに異なり、成功事例も数多く報告されています。
事業引継ぎ支援センター
- 各都道府県に設置され、後継者候補のマッチングや事業承継計画の策定支援、金融機関や士業との連携など、実務面でのサポートを提供している。
- 無料で相談が可能な点や、地域密着型の支援が中小企業にとって大きな助けとなっています。
金融支援・融資制度
- 日本政策金融公庫を中心に、事業承継に必要な資金調達や信用保証、さらには事業承継ファンドの活用が進んでおり、企業の資金面の不安を解消するための制度が充実しています。
【注目】黒字廃業の前に検討したい、
後継者を見つけるためのプラットフォームとは

https://owners.proceo.jp/
M&Aでは相手先が決まってからでないと後継者がわからない。
事業承継ファンドでは株式譲渡後でないと人材会社から後継者を探せない。
サーチファンドでは若手の経営者としか出会えない。
それでは、オーナーは安心して会社を任せられません。
そこで生まれたのが、「日本プロ経営者協会」です。後継者の経験・資質・学歴などの条件をオーナーが挙げ、オーナーの条件に合う、かつその会社を経営したいプロフェッショナルが手を挙げる。
所属するプロ経営者の数は、2023年3月時点で1,500名。
まさに、中小企業経営者のためのプラットフォームです。
後継者が銀行保証に入る事は無く、ストックオプションなどの魅力的なインセンティブ設計を行うことで、後継者にもメリットがあるため、中小企業では招聘困難なスキルを持った後継者の招聘が可能となります。

「後継者がいない」という理由で、黒字廃業を選ぶ中小企業経営者が、全廃業のうち、3割を超えています。
独自の技術や知見が、後継者不足によって失われることは、日本経済の衰退を加速させることに他なりません。
その解決に、コンテンツという形で貢献するために生まれたメディアです。